メルクマール

”夢の世界”と”うつつの世界（現界）”があり、夢の世界に住む夢魔は、人間の体を乗っ取って現界に来ようとしている。夢路が名付けた「デイドリーム」とは、夢と現界の中間のような空間で、夢魔が人間を乗っ取ろうとする時に現れる。　メリーは、自分でデイドリームを作る力は無いようで、他の夢魔が作ったデイドリームに割り込むことで、夢の世界に帰ろうとしている。　だいたいそういう話でしょう。

夢って不思議ですよね。僕はわりと、夢の内容を覚えているほうです。夢の中で何年も過ごすような、大長編の夢を見ることがあって、目覚めた時、「ここはどこだろう」と呆然としたりします。夢の中には別の世界があって、そこで実際に生活していたんじゃないか、という益体もない想いを、完全に否定することができません。なので、この物語の設定には親しみを持てます。

でも、夢の世界があったとしても、現界と対等のものではなく、あくまで現界の人々が作り出した、従属的なものではないでしょうか。夢魔イチマも、みなとに勝手に取り憑いたというよりは、みなとが求めた、あるいは作り出したものではないのかな。イチマが夢に追い返された時、みなととイチマの視線が、一瞬交錯したのが印象的でした。

イチマが去ったあと、公園の滑り台の上に佇むみなとのシーンが、とても好きですね。イチマとの別れは、これまでの彼女自身との別れでもあり、それは淋しいことですが、新しい世界も待っています。印象派の絵のような映像が、優しい世界を作っていました。

夢魔は、人間を乗っ取って（器にして）、現界に来たいと思っているようですが、それは自分たちが、あくまで現界の人々に作られた影のような存在であることを知っていて、その立場を逆転させたい、という野望があるんじゃないでしょうか。当てずっぽうですが。　となると、メリーも誰かの夢なんですかね…

当面は、誰かが夢魔に魅入られて、器にされそうになるところをメリーと夢路が助ける、という1話完結的な話になるのかな。内面に踏み込んだストーリーと、爽快なアクションを両方見られるので、なかなか鉄板だと思えます。

今回も、ハッとさせる所がいくつもありました。千鶴が「バーン」と撃つ真似をして、電車の音が重なるシーンとか好きだな。漫然としたカットは一つとして無い感じです。1話から3話までずっと、山内監督自らの絵コンテ・演出ですが、いつまで続けられるのでしょうか。頑張って頂きたいですね。

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