メルクマール

怪獣映画『ゴジラ』の第一作目は、1954年に公開されていますが、その頃はまだ、広島・長崎の原爆の記憶が多くの人々に残っていたことでしょう。また、原爆の強化版である水爆が発明され、それを実際に爆発させる実験が、普通に行われていました。とんでもない環境汚染ですね。ゴジラは、そんな水爆実験の放射能によって生み出されたという設定です。人間の愚かさに対する、大自然からの警鐘なのです。

昨今は、冷戦の記憶も遠くなり、核戦争の恐怖は昔ほどではありませんが、環境破壊が地球規模の問題になっています。ここ数十年で、生活はずいぶん便利になったけれど、その代わりにエネルギーや資源を大量に消費するようになり、自然に大きな負荷をかけているのです。

イカ娘は、そんな人間の身勝手さに対する、大自然からの警鐘であって、ゴジラの再来と言えるでしょう。自然の怒りがゴジラの破壊力の源だったように、イカ娘の卓越した能力は、大自然の怒りのパワーの発露です。　でも、どこをどう間違えたのか、せっかくのその力を、どうでもいいこと（海の家の手伝いとか、野球とか）にしか使えていません。

そうこうするうちに、イカ娘は人間に共感を覚えるようになってしまいます。そのせいで、イカ能力を失ったのしょう。力の源泉である、人間への怒りが失われたのだから。

最終的には、MIT3人組の起こしたトラブルがキッカケで、イカ娘は能力を取り戻します。大切な友達を失うという理不尽さへの怒りが、彼女の力を呼び起こしたのでしょうか。

謎の少女が登場して、「あなたは一人ぼっちじゃない」と言いましたが、どういう意味でしょうか。彼女も、イカ娘と同類で、自然からの使者なのかな。本来は人類の敵だったはずなのに、人類に馴染んでしまった、イカ娘の気持がわかるのかもしれません。

とまぁ、そんなことは全然どうでもよくて、イカ娘は可愛いし、ギャグもなかなか面白いしで、よい作品でした。来週はイカ娘に会えないかと思うと、イカ娘が海に帰ってしまった栄子たちの心境がわかる気がします。来年の夏に、また会えるでしょうか。

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