メルクマール

桐乃の魅力は、「何を考えているか分からない」ところだと思うんですね。モノローグは一切無いので、表情や行動で推測するしかありません。そして突拍子も無い行動をするので、「次に何をするんだろう」というドキドキ感があります。今回も、ずっとドキドキしながら見ていました。これを僕は、吊り橋効果の一種とみなしています。「何をするのかわからないドキドキ感」を、恋のトキメキと錯覚するのです。

桐乃の行動は、支離滅裂ですね。「恥ずかしい秘密を見せる」と言いながら、結局見せなかったり。アメリカに行くといいながら、急に辞めたり。でもその行動には、なにか理由があるのでしょう。

桐乃は、京介に何を見せようとしたのでしょうか。ブツはアルバムのようなので、ベタに考えると、出生の秘密に関わることでしょうか。実の兄妹ではない証拠があるとか。だとすると、見せたいような、でも見せたくないような、という桐乃の気持は理解できます。これまでの関係ではいられなくなるわけで。

アルバムと一緒に飛行機のチケットがあったのは、アルバムを見せた上で、アメリカ行きについて打ち明ける、というシナリオだったのでは。引き止めてくれるかによって、京介の気持を試そうとしたのでしょう。

でも桐乃としては、アメリカに行かないことは、既に決心していたと思えます。京介は止めてはくれなかったけれど、結局、アメリカ行きはキャンセルしました。でもその後の、京介が嬉しさを隠さない様子を見て、彼女も機嫌が良さそうでした。あの二人は、しばらくはこういう関係でいいのだろうな、と思える幕切れです。

なにやら、TV版とは別のエンディングがネットで配信される、という噂を聞いて、公式サイトをチェックしました。こちらのインタビューによると、12話の途中から分岐して、15話までやるらしいですね。つまり今回のは、テレビの尺の都合による短縮バージョンなのでしょうか。これはこれで、いいと思いましたけど。

分岐するのは、「アルバムを見る・見ない」のところじゃないでしょうか。今回は「見る」を選択しましたが、「見ない」を選択することで、エアチケットは見つけず、留学話も無かったことになるのかも。

全体としてですが、僕はこの作品は、すごく好きでしたね。桐乃のような、「何をするのか分からないヒロイン」が大好きだから。『ture tears』の乃絵とか、『とらドラ！』のみのりとかを思わせます。このタイプのキャラは、一見衝動的だけれど、実は裏付けのある行動をします。

また、日常の何気ない仕草の表現が、とても行き届いた作品でした。妹を描くということは、日常を描くことであり、そこに力をいれるのは当然なのでしょう。それにより、桐乃が生き生きと、生々しいキャラになりました。

そんなわけで、終わってしまって残念なのですが、配信があるということで、まずはそれを心待ちにしています。そして2期もぜひ。トルネ（PS3のレコーダー）では録画ランキングが観られるのですが、『俺の妹』は常にトップだったので、人気はあると思うのですよ。人気があるだけのことはある、作品ではないでしょうか。

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