メルクマール

野球の投手は、速い球を投げられるだけではダメで、チェンジアップや変化球などで速度差をつけないと、打者が速い球に目が慣れて、打たれてしまうのだそうです。逆に、遅い球をうまく使える投手は、それほど速球が速くなくても、速く感じられて打たれにくいとか。

この作品は、普段はとてもユルいのですよね。これといった盛り上がりは無く、女の子にまつわるちょっとしたエピソードをやるだけという。でも女の子が魅力的に描かれているので、それでもいいやと思って見ているのですが、たまに話が面白いと、普段が緩いだけに、すごく面白く感じてしまいます。緩急（ギャップ）の効果と言えるでしょう。

古手川唯が、なにげないメールの文面に悩んだり、苦労して作った文面が思いっきり誤解されたり、という展開が、ラブコメとしてうまく出来ていると思えます。リトの家の賑やかな様子と、唯の静かな生活が交互に映るのも面白いですね。

唯も、ギャップ勝負のキャラです。『ツンデレ委員長』はありがちですが、唯にはさらに『一人相撲』という属性がありますね。リトが知らないところで、1人であれこれ想像して、悶々として、一人相撲を取っている。でもそれはリトには伝わらない。今回の本のエピソードは、リトは全く蚊帳の外でした。バレンタインのエピソードも、リトは「義理チョコを貰った」と喜んだだけで、唯が悶々とした思いでチョコを作ったことには気付いていません。

そんな様子が、いじらしくて良いのでしょう。いいキャラですよね。ふだんの真面目さとのギャップも効果的。『ツンデレ委員長の一人相撲』という設定で、いくらでもラブコメが作れそうなので、今後も期待しています。

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