メルクマール

まず沙織について。沙織の部屋での様子は、以前にちらっと写ったことがあります。なので、あのオタクファッションは仮の姿で、実はエレガントなお嬢さんというのは想像できていました。それにしても、使用人が複数いるような、とんでもないお嬢様のようです。

彼女はコニュニティサイトの管理人なので、付き合いは広いのだろうと思いますが、その中でも、桐乃と黒猫は特別な友人のようですね。あの二人のどこがいいのでしょうか。美少女だから？　実は百合っぽい人なのかな。

黒猫の自宅は初公開で、普段着も家族も、なにもかも初めてで新鮮です。家での黒猫は、妹のためにぬいぐるみをつくってあげるような、家庭的な姉さんでした。

妹相手には普通だったのに、京介から電話が来ると、急に邪気眼キャラになっていましたね。あのキャラは、素の自分を見せないための、照れ隠しみたいなものなのでしょう。　部屋で上機嫌に自分の世界に入っていたのは、京介から電話をもらって嬉しかったせいかな。

そして桐乃ですね。エロゲーやっているのはいつもどおりなのですが、彼女、主人公としてプレイしつつも、しばしば妹に感情移入してないか？　りんこから「バカじゃないの」と言われた時の選択肢で、「いいかげんにしろ」と「ガマンする」で迷って、京介の部屋の方を見てから、後者を選びました。これは、「京介ならこうするだろう」と意識して選んだのでしょう。主人公に京介を投影したということは、りんこに自分を投影したということです。

「もうお兄ちゃんとはいられない。兄妹だから」というバッドエンドになり、りんこがさよならを言ったシーンで、桐乃は「バカじゃん」と、リアルに辛そうな顔をしていました。あれはやはり、りんこと自分を重ねていて、自分ならそんな結末にはしない、と思ったのでしょうか。

風呂場の前でばったりあったとき、桐乃は妙に赤面していましたが、ああいう表情は初めて見ました。ゲームでりんこに感情移入していたので、「お兄ちゃん大好き」というモードが、桐乃の中に残っていたのではないかな。

桐乃が妹もののエロゲーをするのは、純粋に「可愛い妹が好き」なのだと思っていました。本人もそう思っていますし。でも、主人公ではなく妹に感情移入するということは、つまり「自分も兄とこうなりたい」という気持がどこかにある、と解釈せざるを得ません。

そんなわけで、特に事件があったわけでは無いけれど、人間関係には確実に変化をきたしたと感じた、今回のエピソードでした。

あと、今回は表情による演技が、いつになく多かった気がします。原作者自らの脚本ということで、小説では出来ないことを、やってみたかったのかもしれませんね。

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