男には、やせ我慢が必要な時があるものです。バクマン。 第9話 『後悔と納得』 の感想。
シュージンは停学になっちゃったのか。彼は自分を貶されたからではなく、サイコーを貶されたからキレたのでした。でもサイコーはそれに気付いていないようで、「自分がシュージンの足を引っ張っているのでは」と気に病みます。
川口たろうによる、漫画家になるための3条件の1番目は「うぬぼれ」でした。「俺はプロになれる」といううぬぼれが無ければ、そもそもプロを目指さないのだから当然です。でもいくらうぬぼれていても、自信が無くなる時ってありますよね。自信を失くして、でも「おれはできるはずだ」と思いなおす、人生はその繰り返しだと言えます。
そんな時に必要なのが、「やせ我慢」でしょう。やせ我慢は、男の美学です。武士道、騎士道、ハードボイルドなど「男の美学」の根底にあるのは、自分が決めたことは容易には曲げないという「やせ我慢」なのですよ。
その場その場で、合理的に判断したほうがよい場合もあります。でも、最初に考え抜いて、「これだ」と決めたなら、多少状況が悪くなっても、それを貫いた方が良い場合もあります。「今は辛いけど、でも自分で決めたころだから、これでやるんだ」という「やせ我慢」です。
考えてみれば、前述の武士道、騎士道、ハードボイルドなどは、処世術でもあるんですよね。そうやって自分のスタイルを貫いたほうが、むしろ成功できるという考え方でしょう。 失敗したときにも、そのほうが納得感があります。
投資の格言で、「目先筋で大成する人間はいない」というのがあります。値上がりしたものを買い、値下がりしたものを売るという目先の取引をしていると、小金は得られるかもしれないが、大きな利益もありません。ウォーレン・バフェットなど有名な投資家は、「こうだ」というスタンスを決めて、それを貫いたから成功したのでした。人生という投資も、それと同じかもしれません。
サイコーは、「成功するには、自分で決めたことは最後まで貫く、やせ我慢が大事」ということを、じいちゃんを通じて、伯父さんの漫画に教えられたのでした。そうやって得た結果なら、どうなっても納得できると。「伯父さんも、自分と同じように悩んで、やせ我慢したはず」と思い至ったのでしょう。
そんなわけで、サイコーの悩みは解消しましたが、シュージンには新たな悩みが出来たようです。サイコーが部屋に入ったら、なぜかそこに香耶と岩瀬愛子がいるという構図に吹き出しました。絵に描いたような修羅場で、そこに踏み込んだサイコーの慌てっぷりにさらに笑えます。
でも、意外とドロドロしなかったのは、ヒロインが二人とも出来た人物だからですね。岩瀬愛子は、シュージンに「漫画は辞めてもらいます。あなたが後悔するから」と言いますが、それは、シュージンを心から心配してのことでしょう。自分のことだけ考えたら、あの場でそんなことを言うのは損だからです。でもシュージンのことが心配だから、嘘は言えなかった。
香耶は、自分が単に利用されていたことに怒ります。乙女の純情を弄ばれたのだから、怒って当然でしょう。殴ってもいいでしょう。でも、シュージンの夢を認めて、それを見守ることにしました。仕事の中までは踏み込まない分別もあります。確かに「いいやつ」です。
とりあえず愛子は引いた形になりましいたが、CVが藤村歩さんということで、メインヒロイン級ですから、 このまま退場ではなさそうです。ほのぼのとしたサイコーの恋愛に対して、シュージンの恋愛はスリリングなものになるでしょうか。
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