メルクマール

サリナがいいですね。彼女は島外出身なので、同じ『余所者』として、タクトの相談相手にふさわしい。友達のためになにか力になりたいけれど、島の掟のことは自分にどうにもできない、という疎外感は、サリナも感じていたことでした。

でもサリナは、タクトは特別だと考えていて、「あの二人のために、いま君が出来ることはきっとある」と励まします。なぜならば、銀河美少年なのだから。それには謎の説得力があるでしょう。タクトは、あの二人の間には入り込めないと気弱になっていましたが、サリナの言葉で、自分がやりたいようにやる、と吹っ切れます。「ぐちゃぐちゃ考えることはなくて、前向きに進めばいい」というポジティブさが、銀河美少年の資質でしょう。

このシーンでの音楽が、耳に引っかかりました。この作品は、ストリングス（弦楽器）や管によるシンプルで壮麗な音楽が特徴的ですが、このサリナとのシーンでは、ストリングスによるキツい不協和音が流れていて、島民と余所者との不協和音や、タクトの悩みを表していました。でもサリナが励ますシーンでは、いつもの壮麗なテーマが流れて、タクトの気持ちが上向いたことを表しました。

この物語は、『星の王子様』の翻案ですが、王子様は常に余所者です。外からやってきて、さまざまな絆を結び、絆の意味を知るのでした。同様に、外からやってきたタクトが、人々と絆を結ぶ（フランス語で言えばアプリポワゼする）物語なのでしょう。

サカナちゃんの物語が、またまた新展開です。前回の感想で、”サム”はタクトを表していて、”少女”はワコを、"王様”はスガタを象徴しているのでは、と書きました。それに当てはめると、今回の物語はどうなるでしょうか。

スガタはタクトに殺されることを望んでいて、後をタクトに譲るということになります。つまりワコとの許婚の座を譲るという意味でしょうか？　しかし、タクトはそれを断り、その代わりに”銀河の船”に象徴される何かを求めます。それは、タクトがこの島にやってきた、本来の目的と関係あるのかもしれません。でも、その望みをかなえるには、ワコが命を捧げる必要があるらしい。

仮にこの比喩が正しいとしても、あくまでサカナちゃんによる”予言”であって、こうなるとは限らないのでしょう。タクトたちの運命や如何に。

ヘッドは、サムが活躍するシーンでは嬉しそうで、今回の展開には陰鬱な顔をしていたので、サムに感情移入しています。それは単に、サカナちゃんの物語の主人公だからなのか、あるいはタクトのことを案じているからか。後者だとすれば、なぜなのでしょうね。あるいはヘッドの正体は・・・というのは当てずっぽうに近いのでやめておきましょう。

友人が最大の敵となる、というのはお約束な展開ですが、盛り上がります。タクトはああいう性格なので、あまり鬱々とした展開にはならないでしょう。銀河美少年らしく、からまった問題を一刀両断してくれることを期待しています。

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