メルクマール

今回、イカ娘が驚異的な計算能力を持つことが明らかになりました。その秘密に迫りたいと思います。

仮説１：　イカの神経細胞にはすごい能力がある

イカの神経細胞は非常にユニークで、他の生物よりもはるかに大きいのです。「巨大神経細胞（軸索）」と呼ばれ、神経の研究に広く使われています。

余談ですが、これについておもしろい話があるんですね。脳型コンピュータの研究で有名な、松本元という科学者（故人）は、イカの神経を詳しく研究したかったので、イカの飼育を試みます。しかし、イカの飼育は、それまで誰も成功していなくて、ノーベル賞科学者のコンラート・ローレンツが「人工飼育が不可能な唯一の動物」と言ってたくらいでした。

それを、門外漢の松本元氏が、3年がかりで成し遂げてしまったのですね。コンラート・ローレンツ氏もわざわざ見に来て、「完璧に飼育できてる」と兜を脱いだそうです。これによって、神経細胞の研究は大きく進みました。

イカの神経細胞が、他の生物よりも特異的に大きいのは不思議ですが、その理由は「わからない」と松本元氏は言っています。「もしかしたら、神様が神経を研究するために、そうしてくれたのかも」と冗談めかして語っていました。

とにかく、イカの神経細胞は不思議です。ならば、そこには未知の能力があるかもしれません。普通のイカは物を言いませんが、実は元からすごい計算能力を秘めていて、深海で無言で計算し続けているのかも。それがイカ娘の登場によって明るみに出た、ということが考えられます。

仮説２：　イカ娘の触手が機械式計算機になっている

計算機といえば、電卓やパソコンのような電子式のものを思い浮かべますが、それが一般的になる以前は、『計算尺』や『機械式計算機』が使われていました。

計算尺は、定規のようなものに対数で目盛がついていて、それをうまく合わせることで、三角関数や平方根などの計算ができます。この”対数”というのがミソなのですが、4話の感想で、『イカ娘の触手は黄金比であり、対数螺旋である』という記事を書きました。貝殻や花びらなど、自然界のものは対数螺旋を描くのが普通です。イカ娘の触手もそうなので、触手のカーブをうまく利用して、計算尺的なことはできそうです。

機械式計算機は、複数の歯車が入っていて、簡単に言えば、ある歯車が10回転する間に別の歯車は1回転するから10で割った数値が出る、といった計算をします。組み合わせれば微積分もできます。イカ娘にも複数の触手があるので、それを仮想的な歯車のように使えば、機械式計算機的なことはできそうです。

イカ娘が栄子に、謎の図を渡しましたが、あれはつまり、計算における触手の使い方を説明した図、と考えられるでしょう。

仮説３：　イカ娘はやはり宇宙人（異文明）

イカ娘は、一般常識には疎いけれど、計算には強いのでした。それは、イカ娘が異文明（宇宙人、海底人など）に属していると考えれば説明できます。

ヴィーナー・ヴィンジのSFで、異文明の図書館の遺跡を見つけた調査隊が、数学の教科書を見つけて喜ぶシーンがあります。文明が違っても、数学理論は普遍的なものなので、そこから文字などを学ぶ手掛かりが得られるのです。

イカ娘も、文明が違うので、適応にやや苦労しているけれど、数学は変わらないので、元から持っている知識をそのまま活用できた、と考えられます。

以上、お好きな説をどうぞ。

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