メルクマール

この作品は『うる星やつら』をリスペクトしていると思える部分が端々にありますが、ルンは『うる星やつら』のランのポジションだと気づきました。『恋のライバルの宇宙人』という。

公園に停泊した宇宙船に住んでいるとか、宇宙通販で妙なものを取り寄せては、ライバルをギャフンと言わせようとしている、という設定はそのままです。

ただ、髪の色が逆ですな。ララがピンクでルンがグリーンですが、『うる星やつら』ではラムがグリーンでランがピンクです。まぁ、どうでもいい話ですけれど、ちょっと”発見”した気分になりました。

この作品は、三部構成のオムニバスということで、テンポがいい反面、1つのエピソードは浅い話になりがちです。オチも投げっぱなしだったり。でも今回の古手川のチョコのエピソードは、この短さがちょうどいい感じでした。

チョコを作って渡す、というだけの話ですからね。でもそれを、古手川さんの気持ちの移り変わりを追いながら、丁寧に描いた素敵な一遍です。いい話じゃないですか。 演出もとてもいい。

チョコを渡すのを、一旦は諦めそうになるけれど、そこでチョコを作っていた時のことを思い出すのがいいシーンでした。慣れないチョコ作りで苦労しながらも、作っている最中は楽しかったはずです。リトが喜ぶ顔を思い浮かべたりしながら。その時の気持ちが再生されて、「やっぱり渡さなきゃ」と思ったのでしょう。

リトは古手川に嫌われていると思っていたので、『義理チョコ』でも大喜びですが、それを見た美柑は、義理チョコのはずがないと見抜いています。明らかに手作りで、心がこもっていましたから。でもそこで「義理チョコじゃないよ」と言うような、無粋なことは美柑はやらないのです。このマセたところは美柑の魅力ですね。

バレンタインデーはチョコレート会社のキャンペーンに過ぎないと言えばそうなのだけれど、単にチョコをやりとりするだけで、貰うほうもあげるほうも幸せな気持ちになれるなら、悪くないイベントかもしれません。個人的には、あまり縁が無いけれども、このエピソードで心が暖かくなりました。

ポチっとして頂けると励みになります！↓