メルクマール

いわゆるメタフィクションは、僕はあんまり好きではありません。物語の登場人物たちが、自分たちが物語の中の人物であることを意識する発言をするのは、面白いこともあるけれど、興ざめなことの方が多いからです。

でも、「登場人物は現実に生きていると思っているが、実はフィクションの住人」というパターンは、わりと好きかもしれない。特にゲームには、その構造を利用したものが、ちらほらありますね。

この作品も、そのパターンなのかもしれません。主人公はギャルゲーの攻略には自信があるが、それがなぜか”現実の”女子を攻略するハメになってしまう。でも実は、君もギャルゲーの主人公なんじゃないの？という。　美少女の悪魔がやってくるとか、キスしなければならないとか、いかにもギャルゲーですからね。

アイキャッチ的に、シナリオの原稿のようなものが映るのも、「これはゲームの世界」という雰囲気を高めています。

それがストーリーの核心に影響するのかはわからないけれど、今のところは、そういうものだと思っていればいいかなと。そうすれば、「いや、その設定は無いだろう」とか「それはご都合主義すぎるだろう」とか、気にする必要は無いのです。 例えば記憶の件とか…

そういう物語世界の説明をやりつつ、１話でうまくエピソードを完結させました。主人公の、オタクならではの観察力や推理力が生かされるストーリーは、なかなか魅せてくれます。

オタクを主人公やヒロインに据えた作品は最近多いのですが、オタクであるがゆえのスキルでトラブルを解決する、というパターンは、案外少ないかもしれない。実は、少年漫画として正統派だと言えます。今後もこの調子でやってくれるとしたら、楽しめる作品になりそうです。

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