騎央の宇宙船の全体像を見ることができましたが、流線型で、いかにもレトロフューチャーって感じですね。未来的なのに古っぽい、というのは面白い感覚ですが、実際、この手のデザインは1930~40年代に流行したようです。自動車・航空機・電子機器などの技術が花開き、科学万歳の楽天的な風潮のあった時代ですね。そしてその時代は、キャプテン・フューチャーやジェイムスン教授などが世に出た、スペースオペラ・ブームにも重なっています。
右のはスペオペの代表作の一つである、レンズマンの表紙ですね。流線型で、騎央の宇宙船に似ています。 騎央があえてこういうデザインにしたのは、科学に夢を抱き、宇宙には冒険が満ちている、と信じていた時代へのノスタルジーでしょう。この作品は、そんなノスタルジーを思い出させてくれます。
3人娘の宇宙戦闘の元ネタは、『宇宙の騎士テッカマン』でしょうか(ガンダムも入ってたけど)。これは70年代の作品で、30年代の楽天的な雰囲気とはうって変わり、公害問題や核戦争の恐怖など、科学の負の面がクローズアップされた時代を反映しています。環境破壊で地球は死に瀕していて、他の星への移住計画を進めている、という重い設定でした。
真奈美とアオイも、なにやら重苦しいドラマをしていましたが、その二人をアッケラカンとした騎央のロケットが助けたという図式が、「70年代に30年代が勝った」というように見えます。明るい未来と、人類の可能性を信じればいいじゃん、というメッセージではないでしょうか。
宇宙から地球を見るというのは、特別な体験のようで、『宇宙からの帰還』等の本にもまとめられています。宇宙の中での地球の美しさに心を打たれ、地上で人間同士で争うなんて下らない、という心境になるようですね。
騎央もそういう気持ちになったのか、「地球のみんなが全員仲良しになったら凄いだろうな」と無邪気に言っていました。その気持は忘れないでいるべきでしょう。彼は遺伝子をいじってキャーティアになりましたが、地球とキャーティアを結び、「宇宙のみんなと仲良し」になるための架け橋になれるでしょう。
キャーティアは軌道エレベーターをプレゼントしてくれましたが、何よりの贈り物ですね。重力井戸の底から、宇宙空間に物を運ぶのは大変なエネルギーが必要ですが、軌道エレベーターで資材を軌道上に運べるようになれば、宇宙開発は一気に進みます。人類が「宇宙市民」に仲間入りするための、最初の一歩でしょう。アーサー・C・クラークは軌道エレベーターを『楽園の泉』と表現しました。
そんな、文明の新しい段階の象徴とも言える軌道エレベーターが、クリスマスツリーのように見えるというラストシーンは、ロマンチックでSF的なスペクタクルでした。 感動的じゃないですか。
私事ですが、僕は原作者の神野オキナさんのツイッターをフォローしているのですが、氏が「荒鷲の要塞のDVDを買う」とつぶやいておられたので、思わず
「荒鷲の要塞!めっちゃ見たいです。マクリーンもので最高傑作ですね」
とレスをしました。すると、
「ナヴァロンの要塞」「荒鷲の要塞」「ナヴァロンの嵐」「軍用列車」というのが映像化されたマクリーンの映画の好きな順番です。「女王陛下のユリシーズ号」はまだ未見ですが……
というお返事をもらっちゃったんですね。それ自体も嬉しかったけれど、スペオペだけでなく、マクリーンの冒険小説や映画もお好きということで、つくづく僕と趣味が合うなぁと。マクリーンに代表される、イギリス冒険小説のフレーバーはある気がします。
そんなわけで、いい作品でした。基本は萌えアニメですが、スペオペであり、冒険ストーリーであり、なにより夢がありました。原作本も読んでみようと思います。
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発射時の襲撃騒ぎと、上ってゆくロケットを呆然と見上げる敵味方の図は、王立宇宙軍へのオマージュかな、とも思いましたが、考えすぎでですかね(笑)
ロケット、いいですね。
やっぱりロケット大好きなもので。打ち上げはおろか「スクラムジェットの燃焼試験」くらいのシーンでも涙ぐんでしまうくらいです。
形の点で私が最初に思い浮かんだのは「タンタンの冒険旅行」のロケットでした。あ、マグマ大使も…。
三人娘=テッカマン!そうかも!なんか既視感があったんですよね。
原作は読んでいなかったのですが、ぜひ読んでみたいと思います。(スペースマンの回はほぼ原作どおりだという話ですし)
ケント、フォレスターはヘビーローテーションで読んでいるのですが、マクリーンは飛び飛びにしか読んでいませんでした。これからそちらにも手をつけていこうかな。
恋あり、萌えあり、アクションあり、SFあり、さらに小ネタのオンパレードで個人的には大満足でした。全体としては無責任男とか馬鹿が戦車で…の趣もあったかと思いますがどうでしょう?
四角関係も一瞬で解決する、明るい明日だけを向いたパワーを補充できたような気がします。
真奈美がテッカマンブレード、アオイがブラスター(テッカマン)ブレード。乗っていた機体はGファイターにブレード版ペガスを混ぜるとあんな感じになると思いましたw
テッカマンブレード…
あれも気合の入ったSFアニメだったなぁ…
王立宇宙軍ですかー懐かしい。僕もロケットは好きで、よくネット中継で打ち上げを見ます。でも一度は、生で見てみたいですね。
マグマ大使はリアルタイムには見ていないのですが、手塚治虫でしたね。鉄腕アトムのロケットもこんな感じだった気がします。SFというか「空想科学」というか。
マクリーンは、二転三転する緻密なプロットが持ち味で、今でも通用する面白さだと思います。「荒鷲の要塞」「ナバロンの要塞」「黄金のランデブー」あたりがお薦め。
ストーリーのおおらかさは無責任男に通じるかもしれません。キャーティアの連中がおおらかですしね。無責任宇宙娘ですか。
■ぺんぺん刀さんコメントありがとうございます!
なるほど、テッカマンブレードですか。Wikipediaによると、軌道エレベータが登場するようで、なかなかSFしてるようです。影響を受けているのかもしれませんね。
格納庫じゃティーガーⅠ型だったのに、実戦に登場してきたのは何故かⅡ型
しかも妙に背が高くて一見シャーマンみたいなシルエットだったのが残念です
よく見ると砲塔側面に田宮模型のツインスターマーク
鉄十字や赤い星のままだとアレかなと世間に配慮したのでしょうか
とどめに車長ハッチには隻眼の猫ロイドが、ミミズ文字で「教育してやる」宣言です
そう!小林源文先生の「黒騎士物語」エルンスト・フォン・バウアーですね
メイド部隊が2輪で積極的に雪上機動迎撃とは無謀すぎます
ここは地味にたこつぼ掘って、RPGと対戦車ライフルと収束手榴弾とラッチェ・バムで、ガクブルでちびりそうになりながらアンブッシュして欲しかった
この作品って心憎いイースターエッグが所々に埋め込まれてて、「らき☆すた」みたいで楽しいです
ところで軌道エレベータの概念は「TNG」や「ブルーノア」にも登場してましたね
つまり現代版列車砲でしょ?
何でスキージャンプ台なのよ!
このままじゃ銀河鉄道999(スリーナイン)の発着駅なのよ
なんだか、キングタイガーのチョロQみたいでしたよね。まぁ、普通にタイガーが出るのもヘンですけど。何かとハチャメチャでした。
小林源文氏の漫画は、ほとんど見たことが無いんですよね。ぜひ読みたいのですが。
ブルーノア! 内容をほとんど覚えていないのですが、軌道エレベータが出てましたか。わりと濃いSFだったのですね。テッカマンといい、昔のアニメはなかなかにSFです。そういうアニメを思い出させてくれる作品でもありました。
■笑い飯さんコメントありがとうございます!
列車移動型弾道ミサイルランチャーというのが、実際どういうものがよく知らないのですが、あれは違うような気はしますね。999をリスペクトしたかもしれません。