メルクマール

氷峨は、セキレイもアシカビも被害者だと言いました。一方的にゲームに巻き込まれただけだと。そうとも言えるかもしれません。でも実際には、多くのアシカビは、セキレイと別れたくないと思っています。セキレイ計画がなければセキレイに出会えなかったわけで、そういう意味では彼らは恩恵を受けているとも言えます。　負けてもセキレイが居なくなるだけで、それは元通りなのだから。

美哉は、「セキレイは、恋教え鳥」だと言いました。「恋を教え、そして教えられて、いつしか絆という名の強い力を生み、そして奇跡を呼び起こす。セキレイは、そのために生を受けた」と。

実際には、セキレイは性交のやりかたを教える鳥、という伝説があります。日本神話のアダムとイブであるところのイザナミとイザナギは、事に及ぼうとして、やり方がわからないことに気づくのですが、セキレイの尾が上下に動くさまを見てメイクセンスした、という。

そう考えると、美哉の「恋を教え～」というのは、性交を綺麗な言葉で表現しているようにも見えますね。絆という強い力で、奇跡を起こす・・・

それはともかくとしても、伝説ではセキレイは恋（性交？）の対象ではなく、あくまで「教える」立場です。セキレイは、人に絆について教え、そして去っていく、かりそめの存在なのでしょうか。「幾久しく」というセキレイの誓いの言葉は、かりそめの身だからこそか。

実際、セキレイ計画がバトルロイヤルで、勝者が一人しか許されないとすれば、大多数のアシカビとセキレイにとって、別れることは不可避です。勝者にしても、やはり別れるんじゃないでしょうか。”セキレイ”という名前が、それを暗示しているからです。　

そうなりたくないのであれば、”被害者”でも”加害者”でもなく、”当事者”になることです。自分の運命は自分で決めるということ。皆人は、そのためにはためならば戦うと、ついに決意しました。彼は御中の手の平から逃れることができるのか。そして、セキレイとの絆を持続的なものにできるのか。皆人の活躍と決意に期待します。

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