メルクマール

この作品は4話で一つのストーリーなので、比較的短い中で、恋愛の始まりから決着までの心の変化を描かなければなりません。中多紗江編では、それを『視線』で表しているように思います。

出会ったばかりのころ、紗江は伏し目がちで、ほとんど目を合わせませんでした。　でも、ふとしたキッカケで”特訓”をすることになり、それに入れ込むうちに、必死な目で純一を見るようになります。男性をそうやってしっかり見るのは、初めてのことだったのでは。

そうするうちに、紗江は純一に恋するようになりますが、純一の方は女性としては見ておらず、妹扱いです。少なくとも紗江からはそう見えます。そこで、紗江は想いを伝えるために、純一をまっすぐに見つめるようになります。今回、常に純一の目を見つめていました。「想いに気づいて欲しい」という視線でしょう。

しかし、いざ手をつなぐという段階になると、また伏し目になってしまいましたね。想いが叶うかもと意識し始めたことで、先のことをいろいろ想像して、顔をまともに見られなくなったのでは。

次が最終回ですが、どんな視線で、紗江の心境を表現するのかに注目してみるのもいいのではないでしょうか。

手をつなぐ二人の様子が、初々しくてたまらんですね。「手を繋いでいいですか」と聞いてから繋ぐのは、相当ハードルが高いと思うのですが。普通はもっとこう、歩いていてクルマとすれ違うときに、「危ないよ」といってさりげなく手を引くとか、そんな感じで乗り越えるものだと思いますが、あの二人は正面から打ち合う主義のようです。告白も正面突破なのでしょうね。

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