メルクマール

今回のエピソードも、非常に『けいおん！！』っぽいのですが、何がそう思わせるかといえば、「計画性の無さ」でしょう。朝から集合したわりに、何をするのかを全然考えていない。

和を見かけたので生徒会室に行き、ゴールデンチョコパンで感動したので「やり残したことをやろう」という話になり、なし崩し的に部室の掃除をして、急に「アルバムを作ろう！」という話になり。

でも、それが彼女たちのいいところでしょう。あんまり先のことは考えずに、なんとなく集まっても、楽しく過ごせてしまう。そんな生き方ができれば幸せです。

デール・カーネギーの『道は開ける』は、悩みの対処法を書いた本として古典的ベストセラーですが、言ってることはシンプルで、「考えすぎるな」ということです。 先のことで悩んでも仕方ない。今日一日を、新しい人生として生きればよい、という。

実際、悩みの多くは「考えすぎる」ことにあり、考えないようにすれば悩みは消えます。悩んでエネルギーを無駄にするより、「なんとかなるさ」とポジティブに生きるべきというのは、当たり前のことでしょう。でも、なかなか出来ないのが実情でしょうね。

軽音部の連中は、それを実践していると言えます。先のことはあまり考えず、その場その場で生きている。でもそれで十分楽しい。こんな生き方ができればいいなと思うし、だからこそ、この作品は人気があるのでしょう。一つの理想があるのです。だから、ガツガツ練習したり努力したりするのは見せないようにしています。

唯に至っては、他人の視点も一切考えないですね。梓にゴールデンチョコパンを渡して、「幻だから食べといたほうがいいよ」と言いますが、梓が既に食べたことがあるかも、とは考えません。あくまで自分の視点です。唯は、「自分が他人からどう思われているか」なんてことで悩んだりしないでしょう。そのお気楽さは見習うべきです。

この作品は「日常系コメディ」と言われますが、「無計画コメディ」と言った方がいいと思えますね。先のことに不安の多い昨今、先のことは考えず、無計画に日々を過ごす彼女たちに癒されるから。そんな、けいおん！のエッセンスが詰まった、『放課後！』というサブタイトルにふさわしい回でした。

今回、キャラの様子はいつもとあまり変わらず、湿っぽさは少なかったですが、カメラワークなど演出は多少センチメンタルでしたね。人物のアップと風景を交互に写したり、真っ白なホワイトボードを写してみたり。最終回もそんな感じになるのではないでしょうか。

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