メルクマール

前半の、優しい雰囲気がいいですね。みんなミネットのことを気遣って、でもあまり露骨にならないように優しくしている。ミネットもそのことは分かっていて、努めて明るく振舞っている。優しくも儚い、透明感のあるシーンでした。そして笑顔の裏で、ミネットはあることを決意していた。

主人公を二律背反（アンビバレンツ）の状況に置くのは、ドラマの作り方の一つです。　ミネットは、親友を助けるためには自分のコアを差し出すしか無いと思い詰めていますが、でもそうすると、レスターたちを悲しませることになる。あちらを立てればこちらが立たず、の二律背反の状況です。

シェリーは、ミネットにそれを示し、どちらを選択するのかと考えさせますが、「ミネットの選択」を止めることはしませんでした。シェリーは、ミネットを独立した人格として尊重しているのでしょう。ミネットを作ったアルトワーズへの敬意もあるのかもしれない。

一方でレスターは、完全にミネットを「自分の娘」だと思っていますね。一人前になるまでは自分に全責任がある。ミネットを守るためであれば、たいていのことは犠牲にする。ミネットの意思も関係ない。父親というのはそういうものです。

いつも冷静なレスターの取り乱し様は、胸を打つものがありました。男が取り乱してもよいケースは多くありませんが、「娘の危機」はそれでしょう。レスターはミネットを取り戻すことができるのか、お父さんの頑張りに期待しています。

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