メルクマール

学生のころ、アルミ建材の会社でバイトしていました。カーポートやバルコニーなどを建てるのが主な仕事で、かなり高齢の方が一人でやっている会社です。仕事は結構きついのですが、社長の妥協を許さない緻密な仕事ぶりが好きでやっていました。　

社長は戦時中に、学徒動員で九州飛行機で働いていたそうで、その時の話を聞かせてもらったことがあります。設計部門で雑用や見習いをしていたとのこと。九州飛行機は、かつて福岡にあった航空機メーカーで、主に練習機を作っていましたが、終戦間近に『震電』の試作機を作りました。

震電のことを聞くと、その名前は知らなかったようですが、「J7ってやつは作ってたな」と。まさに、J7は震電の型式名です。でも、「でかいエンジンとでかいプロペラを無理矢理にくっつけた、日曜大工みたいな飛行機だったな」と語って、まともなモノとは思っていなかったようです。実際、震電は試験飛行をしていますが、劣悪な操縦性に悩まされ、全力では飛んでいません。あまりきちんと計算せずに、やっつけで作った感があります。

なので、完成したとしても額面通りの性能だったかは疑わしいですが、プロペラが後ろにある先進的な形状で、ロマンを掻き立てられる飛行機ではありますね。尾翼が前で主翼が後ろにある”エンテ型”は、現代の戦闘機では主流の配置なので、時代を大幅に先取りしていたとは言えます。

今回は優れた構成でした。芳佳が飛べなくなって、”魔女の宅急便”のオマージュみたいなシーンがあり、スランプなのかなと思っていたら、実はそれはミスリードを誘っていて、魔力が強くなりすぎたのが原因だった！という。見返すと、そのための伏線がいろいろ張られています。そもそもは、「役に立ちたい」と張り切りすぎたのがキッカケでした。説得力のあるストーリーです。

ゼロ戦は、エンジン出力で言えば『軽戦闘機』のカテゴリーで、950馬力（栄21）しかありません。一方で、震電に搭載されたエンジンは、2200馬力という、旧日本軍の戦闘機では最大のパワーを誇っています。2倍以上なので、成長した芳佳の魔力を受け止めるのには十分でしょう。

シールドを使ってネウロイに体当たりする技は、ハルトマンとルッキーニが使っていましたが、芳佳も使えるようになったようです。「宮藤博士の設計図」のおかげだろうか。芳佳は防御力が取り柄でしたが、攻撃力も得たということで、一気に主戦力になりそう。

扶桑艦隊が登場し、戦艦大和が最前線で戦っていましたが、あんまり活躍しなくて残念です。　重巡高雄が被弾していましたが、高雄は太平洋戦争を最初から最後まで戦い抜いて、何度も被弾しながら生還した歴戦の勇艦なので、今回も生き残ったのではないでしょうか。

主砲発射の音に、リーネが驚いてうずくまってしまう様子がリアルですね。実際、ものすごい音のはずです。主砲１つあたり炸薬が330Kgで、6門同時発射であれば2トンの高性能火薬が爆発するわけですからね。生身で甲板にいたら、衝撃で死ねます。
芳佳がいた格納庫内に飛行機（零式水上観測機）がありましたが、普通の艦では外に置かれています。でも大和は、主砲発射時の衝撃で飛行機が壊れてしまうので、艦内に格納するのでした。　

大和の主砲は砲塔１つにつき３門ありますが、実際には２門しか同時に撃てないと言われています。砲塔が耐えられないそうで、何のために３門あるのか疑問ですね。劇中では３門同時発射していたので、ツッコミどころではありますが、近距離戦のための弱装弾、という設定かもしれません…

それはともかく、ストーリー的にも、ミリタリー的にも熱い回でした。主人公の機種転換は、メカ物アニメの華ですが、それにふさわしい。
今後の震電と大和の活躍に期待します。

ポチっとして頂けると励みになります！↓