メルクマール

この作品のゾンビは、もうひとつ怖く無いんですよね。動きがゆっくりしていて。でもそれは、最近の流行に毒されているのでしょう。そもそもゾンビはゆっくりしているものですが、最近は刺激を求めて、”走るゾンビ”が主流になっているようです。

例えば、タイトルの元ネタである、映画の『Dawn of the Dead』では、1978年のオリジナル版のゾンビはゆっくりですが、2004年のリメイク版のゾンビは走ります。 ゲームでも、『バイオハザード』のゾンビはゆっくりでしたが、『バイオハザード5』では走りまわります。

オンライン協力プレイで、ゾンビだらけの街から脱出するゲームの『Left 4 Dead』では、ゾンビは普段は歩いていますが、何らかの刺激（音など）で発狂すると、猛然と走ってきてダイブして襲かかってきます。怖いです。

しかし、この作品では、そういうアトラクション的な怖さではなくて、伝統的な”ヒタヒタと迫るゾンビ”の精神的な怖さを表現しているのでしょう。また、そうやって追い詰められた状況で、人間同士が争うようになることがドラマの主眼だと思えます。早速、新たに加わった生存者と、元のメンバーとの間で亀裂が生じていました。

元のメンバーは、やけに落ち着いているんですよね。それなりに腕っ節のあるメンバーが集まっているので、この面子であればゾンビを突破できる、という自信が、ある程度はあるのでしょう。

でも後から加わったメンバーは、ゾンビから逃げていただけなので、ゾンビに囲まれたら終わりだ、という危機感を持っていて、半ばパニック状態に見えます。とにかくゾンビの見えないところに行きたい、という心境なのでしょう。両者に温度差があるのは仕方ありません。

それを利用したのが紫藤です。彼は”新メンバー”を導いてきたので、彼らの支持を得ることは容易でした。「リーダーに依存したい」という心理も利用しました。紫藤は見るからに嫌な奴なので、リーダーになったらどうなるのか、不安ですね。

でも、紫藤はいずれ惨たらしく死んで、それでカタルシスを与える役目でしょう。だから今は精一杯、嫌な奴を演じてもらう必要があります。がんばってもらいましょう。

麗や沙耶はかなりエゴイストで、自分たちが助かることを最優先していますが、孝は博愛主義者で、自分が率先して危険を冒すこともためらいません。何が彼にそこまでさせるのでしょうか。やはり、友人の永を殺したことの贖罪なのか。無茶しすぎないか気がかりです。

ゾンビ感染は世界中で、同時に広まっていることが明らかになりました。しかし不自然ですね。なぜこんなに同時なのか。静香先生が喩えに出した、14世紀の黒死病は、ヨーロッパ中に蔓延するのに5年以上かかっています。今は人の移動が昔よりもずっと速いにしても、数時間で世界中に広がるのは不自然です。もしかして人為的なもの？　人為的であれば、ワクチンが既にある可能性が高いでしょう。

このままだと遠からず人類が絶滅しそうな勢いですが、この災厄の原因が何なのか、は重要なキーになりそうです。

今回、エロ成分が少なめだったのが残念でした。僕は、ストライクウイッチーズのような作品はエロが無くてもいいと思ってますが、こういうホラーでは必要でしょう。ゾンビのパンチラは NO THANK YOU.

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