今回はほぼ全編、趣味に走った軍オタモードで。ストライクウィッチーズ2 第2話 『伝説の魔女達』 の感想です。
前回、戦艦大和が登場して喜んでいたら、今回はドイツの戦艦、ティルピッツが登場しました(イタリアの戦艦、ヴィットリオ・ヴェネト級ではないかというご指摘がありました)。同型艦のビスマルクのほうが有名ですが、実はティルピッツのほうが少し大きく、装備が良くなっています。大和と武蔵の関係に似てますね。 ドイツ、じゃなくてカールスラントの科学力で開発された、『対大型ネウロイ用焼夷弾』を斉射したけれど、あまり効かなかったようです。でも艦隊戦はカッコよかった。またあの艦隊は、501航空団再結成の”証人”としても重要でしょう。
新型ストライカーユニット『紫電改』の、初めての実戦参加でした。紫電改は、ゼロ戦の反省から作られた戦闘機です(というと語弊がありますがそれは後で)。昔の日本の戦闘機搭乗員は、戦闘機との1対1での巴戦(格闘戦)で勝つことを重視していました。巴戦では敵機の後ろに付いて機銃を浴びせるのが基本なので、小回りできることが重要です。なので、そこにフォーカスしたゼロ戦が開発され、搭乗員には歓迎されました。
でも敵である米国などは、ゼロ戦と巴戦をしても勝ち目がないので、一撃離脱戦法を使うようになります。大パワーで強引に接近して、一撃を浴びせたら逃げる、というやり方。それに追いつくことができないゼロ戦は厳しくなってきました。また、高空を飛んでくる爆撃機の迎撃にもパワー不足でした。
そこで、パワー重視の戦闘機として作られたのが紫電改です。本来ならば、パワーと速度を重視すると小回り性能は落ちるのですが、無茶なことで有名な海軍は、両立しろと要求し、そのために『自動空戦フラップ』という画期的な機構が導入されています。速度と旋回Gに応じて自動的にフラップを制御して、小回りしても失速させないという仕組み。現代のフライバイワイヤ(コンピュータで動翼を制御する)をアナログでやってしまったものと言えるでしょう。昔から、日本の技術者は変態だったことが分かります。
坂本がネウロイのビームを機敏に避けて、バルクホルンから「なんだあの機動は」と言われていましたが、これは自動空戦フラップの効果なのかな、と思ったりします。どこにフラップがあるのかわからないけど…
坂本の剣は『烈風丸』ということで、これは日本の戦闘機の『烈風』から取っているのでしょうね。紫電改は優秀な戦闘機でしたが、本来は爆撃機などを迎撃するための”局地戦闘機”なので航続距離が短かく、ゼロ戦をそのまま置きかえることはできません。ゼロ戦の純粋な後継機として開発されたのが『烈風』ですが、紆余曲折で開発が遅れ、実戦投入されないまま終戦になりました。
でもファンの多い機体で、架空戦記にはよく登場します。坂本が紫電改に機種転換したので、芳佳は烈風なのかなと思っていたのですが、剣の名前に使われたということは、それは無いのかもしれません。まぁ、芳佳にはスリムな零式が似合っているかも。彼女は防御・回復の支援要員なので、大パワーは必ずしも必要では無いですし。
前回、504航空団という新組織が登場しましたが(そして壊滅したようですが)、501航空団はどうなったのかなと思ってたら、どうも一旦は解散したのですね。そもそも、501航空団は実験的な組織だったのでしょう。各国のエース級のウィッチを集中運用してみるという。それが戦果を上げたわけですが、そもそも各国から借りていた人員なので、いったん返して、別メンバーで504航空団を作ったのでしょう。元501航空団のメンバーは、各国に帰って教官などを務めることが期待されていたと思えます。
でも新たなネウロイにロマーニャを占領されたということで、そうも言っていられなくなり、501航空団の再結成となりました。 メンバーが少しづつ集まってくるところは燃える展開でしたね。 カールスラント3人娘が最後に現れたのは、なんだかんだで彼女らが主力なので当然だなと思えます。でも今回は、烈風丸を得た坂本がフィニッシュを決めて、今後はこのパターンも増えるのかもしれません。進化したネウロイのコアは動くそうなので、ピンポイントの射撃よりも、面で攻撃する剣のほうが有効でしょう。
そんなわけで、2話目からずいぶん盛り上がりました。でもこの作品は日常エピソードも魅力なので、そちらにも期待しています。
ポチっとして頂けると励みになります!↓

紫電改 補足 元々川西が作った水上戦闘機『強風』の陸上機版『紫電』の諸々の不具合を見直したのが紫電改で日本軍基準では航続距離が短いけど欧米基準だと長い(欧州は陸続きの戦場のため航続距離が短い機種が多い)。
ゼロ戦 欧米からは軽戦闘機扱いだけど日本の搭乗員的には重戦闘機だったみたいで、巴戦での撃墜より初撃の急降下の時の方が多いらしい
と言うのもゼロ戦の二十mm機関砲に問題(威力があった反面 初速が遅い為弾道が不安定)があったので弾が当たり難い><;
零式は武装で言えば重戦闘機並みですよね。
おっしゃる通り、20mmはいわゆるションベン弾で、弾数も非常に少ないので、巴戦では役に立たなかったと思われます。坂井三郎さんのスコアはほとんど7.7mmによるものだとか。
芳佳の武装も20mmだろう、と思っていたのですが、念のために調べたら13mmなんですね。そこだけ54型を先取りしているのか。
軍オタモードの解説面白うございました。
気になった点が1つ。今回の艦隊の元ネタはイタリア海軍ではありますまいか。ヒゲの艦長が指揮していた旗艦はヴィットリオ・ヴェネト級でしょうね。4隻あるうちのどれであるかはチトわかりません。
徹甲弾発射のシーンで大写しになった連装砲塔の艦はザラ級の重巡かなぁと思いましたが自信なし。いずれ詳しい人の解説があることでしょう。
今後も記事を楽しみにしています。
イタリア海軍って、ほとんど戦史でも話題にならないと思うのですが、あんな立派な艦隊があったんですねぇ。不勉強でした。
今後ともよろしくおねがいします!
すでにご指摘のとおり、ヴェネツィア艦隊の旗艦は、イタリア海軍の戦艦「リットリオ」級です。(戦艦「ヴィットリオ・ヴェネト」は正確には2番艦になります。)主砲の38.1cm砲は、長砲身の高初速砲で、日本の「大和」級戦艦に匹敵する42800mの最大射程と、他国の40cm砲クラスに匹敵する威力を誇りました。
ネウロイ相手に艦隊が砲撃するシーンで、主砲と艦橋部がアップになるのは、その後のシーンで旗艦の後方で砲撃している戦艦は、「コンテ・ディ・カヴール」級戦艦(近代化改装後)で間違いないと思います。
マニアな指摘でしたが、アニメの画像からここまで識別できるのも、それだけ正確に描写されているということでもあり、第1期の空母「赤城」や「陽炎」級駆逐艦と同様の手抜きの無い描写に感動です。(OPの戦艦「大和」の描写の素晴らしさから期待はしていましたが・・・)
側面の迷彩や、艦首付近の赤白ストライプ模様も、1942~1943年ごろにかけて実際にイタリア海軍が行っていた迷彩に忠実です。
ただ1点、間違いを指摘させて頂くとすれば、巡洋艦が砲身を上げるシーン、ザラ級の主砲は、構造的に左右の砲身を別々に動かせないので、砲身の動きは左右全く同じでなければならないのに・・・、という重箱の隅的な部分くらいでしょうか。
「左右の砲身を別々に動かせない」というご指摘は興味深いです。別々に動かしてしまうのは、”宇宙戦艦ヤマト”の影響かもしれませんね。大和はああいうふうに動くのでしょうか。
イタリアの軍艦にはまったく詳しくないので、面白いお話でした。どうもありがとうございました。
マニアな考察楽しかったです
とくに自動空戦フラップ効果でビームを掻い潜るくだりは最高
個人的には烈風って名前はもったいぶってほしかったけど少佐のドヤ顔みてたらニヤニヤするしかないですね
烈風をここで出すか、とは僕も思いましたが、坂本さんが一生懸命考えた名前らしいので、まぁいいでしょう。