メルクマール

美咲が生徒会長としての有能っぷりを発揮して、見事に問題を解決するが、すべて終わったあとで、碓氷の前では乙女っぽいところを見せてしまう、というのがこの作品の鉄板。こういう回は必ず面白いわけで、今回も面白かった。

美咲の仕事ぶりは見事で、あれだけのイベントを企画・実行する能力はすごいでしょう。努力の甲斐あり、見学者の評判は上々だったようです。

しかもそれと同時に、叶の問題も解決しました。女の子が嫌いだから女の子だらけの中で働かせる、という荒療治ですが、ちゃんと観察してフォローすることを忘れていません。”男嫌いの女の子”と引き合わせた機転も良かった。

そういう美咲の有能ぶりの描写があるから、碓氷の前での可愛さが引き立つのですね。”自分の前でだけ、こういう面を出してくれる”という碓氷の優越感を共有できます。思わず襲いたくなるのも無理はないでしょう。

前回、美咲は”アンの青春”のアンみたいだと書いたのですが、今回もそう思いました。”アンの青春”は赤毛のアンシリーズの2巻目で、アンが16歳～18歳の時代を描いています。地元の小学校（分校みたいな小規模なもの）の教師をしつつ、成長していくお話。

アンは内面はすごく乙女ですが、生徒の前では威厳が必要だということで、毅然と振舞おうとします。そして生徒たちのトラブルを解決し、問題児からも好かれていくのですが、美咲の様子がそれと重なりました。

となると、碓氷はギルバート・ブライスなのか？　二人は子供のころは険悪で、”アンの青春”の時点では和解していて、だけどまだ距離はある、という状態です。女性にモテモテだけれどアン一筋で、影に日向にアンのことを手助けしていて、でもアンはややそっけない態度、という関係は近いかもしれない。

アン・シリーズは、100年前の作品ですが、今でも瑞々しいし、ラノベ感覚で軽く読むこともできます。美咲が好きな方なら、アンも好きになると思いますね。訳がいろいろありますが、元祖である村岡花子訳がお勧め。

来週は水着回でしょうか。イベント回もいいですが、そろそろ人間関係に変化が欲しいところでもあります。そうしないと、あの二人の恋愛は進まないと思うんですよね。アンとギルバートの仲が進展したのも、ライバル登場がキッカケでした。それは3巻目の”アンの愛情”のお話ですが。

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