メルクマール

僕は門田推しだったので、彼がいいところで活躍してくれたのは最高でした。門田は”良い大人”の代表だと以前から書いてきたので。

物語の中心は、ダラーズ、黄巾族、妖刀軍団の三つ巴の戦いですが、それぞれのヘッドは高校生なので、しょせん「子供の小競り合い」であるはずでした。ちょっとした行き違いが原因の。

でもそこに、”悪い大人”の臨也が介入して、血で血を洗う抗争になりかけていました。それから子供たちを守るのは、”良い大人”の責任であるはずです。門田はその役目を果たしました。

また、その他の”良い大人”である、セルティ、静雄、サイモンも要所を締めましたね。特にサイモンがいい。臨也をぶん殴ったのはスッキリしましたよ。あの拳には、視聴者の想いがこもっていたでしょう。

臨也は”街に住む人が好きだ”と言いながら、彼自身は誰からも好かれていません。沙樹に見限られ、サイモンからは殴られ、波江には裏切られ。 そんな彼だからこそ、街と人に執着するのでしょうね。彼が少し、気の毒になってきました。自業自得ではありますが。

エンディングは、日常が戻ってきたところで幕が閉じます。それなりに大事件だった気もするけれど、ありふれた出来事だった気もする。いずれにしろ街はそこにあり続けて、人だけが移ろっていく。「ダラーズは街だ」と帝人は言いましたが、黄巾族や妖刀軍団も”街”なんですよね。メンバーが入り交じっていて、出入自由なのは、それが街そのものだからでしょう。池袋という街と、ネットの仮想的な街、それがこの物語の主役でした。

全体として、スリリングかつ大胆かつ緻密な物語で、それを生かす映像や音楽も優れた、素晴らしいエンタテイメントでした。街が主役の群像劇、というスタイルもオリジナリティがあります。オリジナリティと言えば、首なしヒロインというのが何より斬新。斬新で、かつ面白い、というのは大したものですね。もう、手放しで褒める価値のある作品でしょう。

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