メルクマール

テーマは「父性とは何か」ですね。たぶん、父性には２つの面があるのでしょう。一つは家族を包み込んで守ってくれる、どっしりと安定した幹のような存在。もうひとつは、「俺を乗り越えてみろ」と突き放す、ライバルとしての存在です。それぞれは相反していますが、そのせめぎ合いが父親と子供（特に息子）の関係でしょう。

村長は前者の象徴であり、リクパパは後者の象徴だと思えます。父性の２つの面を、かなり極端な形で二人に受け持たせている。村長は能力は無いけれど、包み込んでくれる不思議な人徳はあるんですよね。　リクパパは能力がありすぎて、リクを萎縮させている。その中間が、本当はよいのでしょうけれど、現実にはそうではないので、「この二人といかに付き合うか」が、リクが父親コンプレックスの呪縛から逃れるために必要です。そしてそれは、この物語のテーマそのものではないか。

ちなみに、ニノは母性ですね。恋人というよりは母親。母親の”無償の愛情”に飢えていたリクにとって、それを与えてくれる存在です。だからキスで有頂天になりつつも、自分から手を出そうとはしないんですよね。

この物語は、リクが”家族を取り戻す”までの話でしょう。アバンのモノローグで「願う」について語られていましたが、リクが願っていることはそれしか無いと思えます。

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