メルクマール

唯の周りに、人が集まるんですよね。今回は特に、絵的にそういう構図が多くて印象的でした。　軽音部はそもそもは律と澪が作ったものですが、あのふわふわした雰囲気は唯の影響が大きいでしょう。

憂も和も、そしておばあちゃんも、影にひなたに唯をサポートしています。梓も一肌脱ぎました。唯にはそういう、周囲の人が構いたくなるものがありますね。主人公にふさわしいと言えます。

普通の青春ストーリーは、主人公たちが努力して、何かを成し遂げるわけですが、けいおんは”主人公たちががんばらない”という、珍しいパターンだと思っていました。　でもそれは”怠惰”なわけでは無いのでしょう。真面目に練習するよりも、友達とダベったりして交流することを重視して、積極的にそういう時間の使い方をしていたとも言えます。今しかできないことだから、それはそれでアリなのかも。　「あまり先のことは考えず、目の前のことをやる」のが唯のスタイルです。

今回、唯は「とにかく一生懸命がんばる」という標語でがんばっていて、心を入れ替えたようにも見えますが、実はそんなに変わっていないのでしょう。「目の前のことをやる」というスタイルのまま、その対象を切り替えただけです。実際のところ、試験勉強はそのノリで、深く考えず、バカになってやることが必要です。

「唯の性格は試験勉強向き」と前回書いたのですが、その通りに、いい成績を取っていましたね。「ヤマが当たった」と言ってましたが、試験勉強は、受験も含めてそれでＯＫですから。本当に頭のいい人は、頭で考えて問題を解きますが、バカでも出題パターンを憶えればいいわけで、結果は同じです。僕もそれで乗り切ったものでした。

そんなわけで、舞台が部室から教室や図書館になり、やることがお茶会から勉強になりましたが、唯は唯のままで、唯の周りに人が集まるのもそのままでした。　この作品、”がんばらない”ので青春モノとは言いがたいと思っていたのですが、実は正しく青春モノだったのだなぁと、気付かされましたね。今回に限らず、以前からです。

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