メルクマール

碓氷が“鬼”というのが、象徴的かもしれません。　そもそも”鬼”とは、中国では死者の霊のことですが、日本固有の”オニ”の概念と融合して、「なんだかよくわからないもの」を”鬼”と呼ぶようになりました。

平安時代の朝廷にとって、世の平安を乱す存在はおしなべて”鬼”であり、例えば”たたら場”（古代の製鉄所）の人々がそうでした。大陸にルーツを持つ彼らは、自分たちの技術力を背景に、朝廷に反抗的だったからです。ゆえに彼らは”鬼”の烙印を押され、迫害の対象になりました。典型的な”鬼”のイメージは、鉄の昆棒（製鉄の道具）を持っていて、上半身裸で、焼けた赤い肌をしていて、たたら場の人々を誇張して表しています。

美咲にとって、碓氷はまさに「心の平安を乱す、よくわからないもの」でしょう。その不安感から、碓氷のことを”鬼”だとみなしています。でも鬼にも言い分はあるわけで、「よくわからない」という理由だけで排斥されるのは心外なはず。碓氷はそれが言いたくて、あの寸劇の脚本を書いた、というのは考えすぎかな。

”鬼に襲われた村”の惨状は、むさ苦しい星華高校を象徴していますが、今回の碓氷の脚本では、彼らに救いはありませんでした。碓氷は、星華高校を変えようとがんばっている美咲を、どう思っているのかな？　「女の子の肩身が狭いなら、みんな俺のハーレムに入ればいいじゃん」という考えでは無いと思いたいが。それはジョークということで。

三馬鹿が酷い扱いですが、碓氷の嫉妬心が微妙に現れていたりして。美咲の秘密を本当は独占したいのに、三馬鹿も知っていて、しかも彼らは素直に美咲に好意を表しています。それが碓氷として面白くないというのはあるでしょう。がんばれ三馬鹿。

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