メルクマール

門田グループと正臣との会話が、特に良かったですね。正臣は、ブルースクウェアの残党がダラーズにいて、その連中が復讐のために黄巾族を襲っているのでは、と疑っている。でもそれは、元ブルースクウェアで、今はダラーズにいる門田たちに対してとても失礼な言い分ですよね。なので遊馬崎はキレたし、狩沢も静かに怒っていました。

事実は逆なのが、皮肉なところです。ブルースクウェアの残党は黄巾族にもいて、その連中が黄巾族自体に復讐しているように見えます。法螺田たちは確信的に正臣に逆らって暴走し、わざと正臣の学友を襲ったのでしょう。そうやって黄巾族を分裂させ、あわよくば乗っ取ろうとしているんじゃないかな。それは確かに、効果的な復讐です。

つまり、ブルースクウェアの残党のうち、穏健派（門田たち）がダラーズに、武闘派（法螺田たち）が黄巾族に吸収された、と言えるのだろうな。　遊馬崎や狩沢は、「ブルースクウェアなんて存在しなかった」と言いましたが、それは彼らにとって、ブルースクウェアでの事件は忌まわしい過去であり、忘れたいという気持ちが強いからでしょう。でも今、その過去の抗争が蒸し返されようとしているわけで、彼らも無関係ではいられないのでは。　門田は臨也とは対極の、この物語の”良心”ですから、彼らの動きは重要になりそう。

ついに、帝人の正体を正臣が知ることになりました。一方で、正臣の正体を杏里が知っています。ここでさらに、杏里の正体を帝人が知れば、綺麗な三すくみの関係になるのですが、次回そうなったりして。

「直談判する」と言いつつ、帝人と話すことができない正臣は、何を考えているのか。正臣にとって、帝人は「裏表のない、安心して付き合える友人」だったでしょう。でも今、帝人にそんな裏があることを知って、大きなショックだったはずです。抗争などとは無縁の、”平和な日常”の象徴だったはずなのに。

だから、「もう誰も信じられない」という心境になっても不思議ではありません。真実を知って、解決に向かうどころか、事態はよりこじれたように見えます。だからこそ、臨也は正臣に真実を教えたわけで。

門田が、臨也に正臣を託したのが、やや意外なんですけどね。案外、人を見る目がないのか？　狩沢たちは臨也を”曹操”（乱世の奸雄）と評していたので、警戒はしているはずですが。でも結局のところ、彼は善人なので、このダラーズと黄巾族の抗争を演出しているのが、まさか臨也だとは思っていないのでしょう。それに気づいた時が、クライマックスなのかもしれません。帝人たち3人組はしょせんはガキであり、”大人”の臨也に対抗できるのは、やはり”大人”の門田しかいないと思えるからです。

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