メルクマール

この作品は、日常の出来事をコメディタッチで描きつつも、音楽にからめて裏のテーマを暗示する構成が多いですね。しかもその裏テーマは、必ずポジティブなメッセージを持っている。

たとえば7話では、澪がイジれる様子を描きつつも、澪がファンの応援に感謝していることを、『ときめきシュガー』の歌詞で暗示していました。

たとえば6話では、雨の日の日常を描きつつも、一緒に過ごせる仲間がいることの楽しさを、『あめふり』の曲で暗示していました。

そして今回は、『もしもしカメよ』です。唯はのんびり屋で、進路のことを何も考えていなかったけれど、考え始めてからは、クラスのみんなに進路をインタビューしてまわるなど、なかなか熱心に動いていました。今はまだ決められないようだけど、「とにかく　一生懸命　がんばります』　と調査票に書いた通り、カメのように着実にがんばって、なんとかしてしまうのだろう、という未来を暗示しています。　表向きは「やっぱりダメだった」ですが、あまり重苦しくならないのは、裏テーマがポジティブだからで、この爽やかさが作品の味なのでしょう。

唯の和の過去話がありました。やはりこの二人は、大学でも一緒にいるべきでしょう。和はかなり上の学校を目指すようだけれど、唯もがんばればなんとかなる気がする。　大学入試の勉強って、頭を使わずに、バカになってやることが必要です。　大学の先生は入試問題を作るのがメインの仕事ではないので、過去の問題を順番に出して、多少バリエーションをつけているに過ぎません。要はパターンを覚えてしまえばいいわけで。

唯はここぞという時には集中力を発揮するので、”バカ”になって勉強できるタイプでしょう。助動詞の歌を暗記する記憶力を見せたのは、「実は勉強ができる」という伏線だと思えます。

さわちゃん先生は、唯たちの｢ミュージシャン」という希望を却下しました。一瞬笑顔を見せたので、心情的には応援したいのかもしれないけれど、先生の立場では無理でしょうね。ミュージシャン、プロスポーツ選手、声優、などの仕事は、その分野で100点を取らないとプロになれないんですよ。90点では「もう少しでプロになれた」かもしれないが、実質0点と変わりません。オール・オア・ナッシングです。

一方で大学に行って勉強することは、必ずしも100点を取る必要は無くて、90点なら90点なりに、70点なら70点なりに見返りがあります。唯のようなスロースターターには、そういう生き方のほうが向いていると思うのでした。あんまり夢は無いかもしれませんが。　さて、唯の選択はどうでしょうか。

ポチっとして頂けると励みになります！↓