メルクマール

以前にも書いたのですが、この物語は「脱出もの」だと思ってます。登場人物たちが置かれた異常な状況から、どうやって脱出するかというサスペンスです。すくなくともゆりは、この世界をつかさどる”神”を見つけ出し、それに打ち勝つことで活路を見出すことを目的にしている。その方法論が正しいのかは分かりませんが。

しかしこのところ、”天使”が敵ではなくなり、会長代理もあっさり陥落したために、敵が存在しなくなっていました。”かなでの分身”は、偶発的な事故から生じたようなももので、あれを倒したからといって”神”に近付くわけでは無さそうだし。

と思わせておいて、案外この件は重要なのかもしれません。これまで考えていたことと、辻褄が合わないところがあり、ということは何か前提が間違っているということで、膠着した状況を変える手掛かりになりえるからです。

なにが辻褄が合わないかといえば、”Angelplayer”というソフトですね。　この世界は、イメージすることでモノを作り出すことができるので、かなでのスキルもそういう“イメージ力”によって作られたと思っていました。ゆりも「私たちが武器を作るのと同じ」と言ってましたし。天使エリアで見た画面は、技をイメージしやすくするためのメモのようなものだろうと、なんとなく考えていたのです。

でも今回、”Angelplayer”のソフトを書き換えたことで、かなではその内容を知らなかったのに、実際にスキルが変更されました。ということはつまり、スキル発動は彼女のイメージ力ではなく、あのソフトが主体的な働きをしている、ということになります。

この世界はやはりコンピュータのソフトウエアそのもの、つまり仮想空間なの？　だとしたら、この件はネタばれしすぎなので、逆に無いだろうと思えます。ソフトでそういうことが可能な世界、だと考えたいところ。

どちらにしても、そういうソフトのインタフェイスがあるということは、システム管理者もいるはずで、それがつまり”神”なのでしょうか。見えなかった敵の姿が垣間見えたような気がする、今回のエピソードでした。

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