メルクマール

前回も、正臣が深みにはまっていく様子を緻密に描写したのですが、今回も同じように、黄巾賊とダラーズの対立が深まっている様を、詰将棋のように一手一手描写していきました。

なぜ詰将棋を思わせるかといえば、臨也がゲーム板でシミュレートした通りに、物事が進んでいるからでしょう。彼は情報屋として、情報をしかるべき時にしかるべき人に渡しているだけなのに、状況を完全にコントロールすしている。彼の怪物っぷりが際立っています。

セルティと杏里が交流しているしていることも、彼の計算のうちで、杏里が間違って内緒モードのセルティに返事をした時も「してやったり」という顔をしていました。

チャットといえば、4人の機材の違いが面白いかなと。臨也はMac Proで、独善的な変わり者にふさわしいですな（←偏見）。最近、iPhoneからFlashプレイヤーを排除したりなど、アップルの閉鎖的なやりかたが話題になっていますが、そういう「俺の手の平の上で踊りやがれ」という態度は臨也っぽいとも思えます（←さらに偏見）。

セルティは普通のノートPCなので、普通にWindowsなのでしょう。彼女の中身は、意外と普通ですからね。普通の人にはWindowsで。

帝人のPCは、以前に「wbunte」という起動ロゴが出ていたので、ubuntuをもじったLinuxベースのOSだと思われます。ダラーズというオープンでフラットな組織を作った彼に、オープンソース（有志が作って無償で公開するソフトウェア）のLinuxはふさわしいでしょう。Macとは対極にあり、なので臨也と帝人の関係は対極なのだと思えます。

杏里は携帯電話でした。女子高生ならPCより自然でしょうけれど、うがった見方をすれば、携帯電話は普通のインターネットと違って、キャリアのサーバーに管理された中央集権システムであり、妖刀軍団の母としての絶対権力を表しているかもしれません。

今回の杏里はカッコよくて、妖刀軍団に命令するシーンや、鉄パイプを両断したシーンにゾクゾクしました。意外と行動力があるところを見せましたが、結果的には裏目でしたね。でも、黄巾族とダラーズの抗争を止めることは、おそらく彼女にしかできないのです。それぞれの組織は、ヘッドである正臣や帝人の手を離れて暴走しつつありますが、杏里は妖刀軍団に対して絶対的な命令権があるから。それも臨也は計算に入れているでしょうが、杏里にはぜひ臨也の上を行って欲しいと思っています。彼女の潜在能力に期待。

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