メルクマール

グイン・サーガを連想しましたよ。この長大なサーガは、辺境の地で３人の男が出会うところから始まります。一人は記憶を無くした豹頭の戦士、一人は無名の傭兵、そして一人は国が滅びて逃亡した幼い王子。３人は行きがかり上、一緒に旅をして、道中で絆を深めていくのですが、実はこの３人は、やがて中原（大陸の一角）を三分する列国の王になり、互いに戦うことになる、ということがいきなりネタバレされます。そして、それに沿って物語が進むのでした。作者の栗本薫氏は、自分なりの三国志が書きたかったと語っていました。

この物語も、３人の少年少女が出会うところから始まりました。この時は、ごく平凡な高校生に見えていたけれど、実は一人はダラーズの創始者であり、一人は元黄巾族の幹部（ボス？）、そして一人は、池袋に蔓延する”罪歌の子どもたちの母親”ということが今回判明しました。　ただの高校生たちが、池袋を三分する勢力の、それぞれのヘッドだったということですね。

春奈が全体の”母”なのか、と思わせる進行でしたが、そうではないのでしょう。彼女も独自に”子供”を作って、杏里を襲わせようとしたけれど、春奈も実は子供の1人であって、杏里の持つ刀がオリジナル、つまり全員の”母”だと思われます。

罪歌の子どもたちは、２種類の目標を狙っています。一つは杏里で、もう一つは静雄。前者は春奈の個人的な目標で、罪歌全体の目標は後者のはずです。春奈は罪歌の力を私物化して、暴走していたのでしょう。

春奈の父親は、春奈の命令に従って杏里を追っていましたが、静雄を見ると目標が切り替わりました。”罪歌全体の目標”のほうが優先ということですね。

ではなぜ、”罪歌全体の目標”は静雄なのか。それは、静雄が「池袋最強」だからでしょう。池袋を愛するからには、池袋最強の男を倒さなければならない。たぶん、罪歌の持ち主である杏里が、池袋の街が好きで、池袋の人々に受け入れられたいと思っている。その彼女の”池袋愛”が、ゆがんだ形で出たものではないでしょうか。

そんなわけで、”池袋を舞台にした三国志”という構図は見えてきました。これにセルティがどう関わるのか、そして臨也の企みは何か。クライマックスに向けて、盛り上がってきました。

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