メルクマール

世の中の”物語”は、主人公が苦労したり酷い目にあったりして、でも最後にはそれが報われるという”ハッピーエンド”が多いわけです。でも現実はそう都合よくは行かないでしょう。

野球に打ち込んで、暑い日も寒い日も練習し、精神的に折れそうになっても耐え、そして迎えた大会。ここで勝てばハッピーエンドですが、実際には負ける人のほうが圧倒的に多いはずです。

同様に、ミュージシャンになろうとがんばって、オーディションを受けても叶わない人が大多数だし、強盗に襲われた時、正義の味方が助けに来ることも稀でしょう。この作品の登場人物は、そんな”アンチ・ハッピーエンド”な物語の主人公だと言えます。

アンチ・ハッピーエンドは、誰にでも大なり小なり経験があるので、共感できるところがあります。でも物語としては、スカッとするカタルシスが無いので、成り立たせるのが難しいでしょう。

この作品の登場人物は、生前は”アンチ・ハッピーエンド”でしたが、この死後の世界？で”ハッピーエンド”になれるようです。アンチ・ハッピーエンドとハッピーエンドのいいとこ取りをした、巧みな物語とも言えるかもしれません。

今回はギャグ回だったのでしょうけれど、僕はこの手の、フィジカルにどつき合うギャグがあまり好きではないのでした。ユイがあの場面で日向に襲いかかったのが意味不明で、伏線が欲しいところですが、あのナンセンスさがギャグなのでしょうか。

でも、これまで戦線のメンバーの描写が薄くて（人数多いから…）感情移入しにくかったのが、今回で多少はキャラが立ってきた人もいるので、意味はあったと思えます。

OPがスペシャル版でしたね。2話の感想で、ピアノは天使の象徴だと書いたのですが、今回はピアノのパートがギターで、通常版と対になる構成です。リズム（ビート）も、通常版が心臓の鼓動のような”４つ打ち”なのに対して8ビート・ロックで。つまり秩序のある”天使版”と、奔放な”戦線版”なのでしょう。

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