メルクマール

『ねじ式』とか思い出しますね。この手のシュールなコメディの元祖のようなものだと思いますが、周囲の謎の人々に振り回され、でも主人公もまともではない、という。　テクニカルには、”まともな人”を一人は配置した方が、そこを基準点にして話を作りやすいと思うのですが、あえて”全員まともでない”という設定にすることで、悪夢を見ているような不安定感を出しています。

ニノがベッドの下の物入れで寝るのを見て、リクが絶望するシーンがありますが、布団を持っていないなら、あれもアリでしょう。　綿入りの布団というのは贅沢品で、農村などでは明治に入るまで庶民の手には届きませんでした。なので、天井が低くて細長い、納戸のような”寝間”と呼ばれるスペースに、藁を敷き、身を寄せ合って寝ていました。体温をなるべく部屋に閉じ込めるためですね。物入れで寝るのも同じ理屈でしょう。

ともあれ、あのシーンは噴き出してしまいましたけどね。「ニノさんもわりと普通なのかもしれない」と、ちょっと希望の持てる雰囲気で締めると思ったら、あの終わり方。ギャグの演出は素晴らしく、村長のシーン（緑色だー）などでも噴いてしまいました。

リクは『誰にも借りを作るべからず』という家訓に従っていますが、社会で生きている限り、借りを作らないのは不可能でしょう。「借りを作ると心因性の喘息で死にそうになる」という彼の体質が、社会生活には全く合っていないと思えます。そんなリクが、橋の下の奇妙な住人たちとふれ合うことで変わっていく、というストーリーなのかもしれません。

まだまだキャラが増えるようなので、どんな奇天烈な連中なのか楽しみです。電波なニノが、実は可愛いところもある、みたいなギャップが見られるといいなぁ。「恋をしたい」ってあたり、その素質はあると思うのですが。

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