メルクマール

この作品の情報を公式サイトなどで見たときに、なんだか古臭いというか垢抜けない印象があり、あまり期待していませんでした。それは、タイトルロゴの印象が大きいと思えます。内容の雰囲気と合ってないというか、はっきり言ってダサいと思うんですよ。ロゴって大事ですね。

実際のアニメは、なかなかのクオリティでした。未来的な背景がいいですね。魔法が当たり前に存在する未来世界、というのは『まじしゃんず・あかでみい』あたりを思わせ、好きな設定です。　

”あさま”や”あずさ”という列車が運行しているので、あの駅は東京駅なのかな。異世界というよりは、未来ということでいいのでしょうか。

ヤタガラスに”魔王”と診断された阿九斗。ヤタガラスは想像上の鳥で、神武天皇に道を教えたという伝説があり、そこから転じて”将来の職業を当てる”という精霊の名前になったのでしょうね。

阿九斗は善良で、虫も殺さぬ男ですが、ただおとなしいだけではなく、社会に対して不満を持っており、変革したいと思っているようです。「社会をデザインしたい」と言っていました。そのために大司教になるのだと。それは聞きようによっては、不遜な台詞ではないですか。

ヒトラー、カストロ、カダフィなどは、私利私欲のために”独裁者”の座についたわけではなく、理想の社会を作ろうという高い志を持っていました。手段に問題があったので”独裁者”と言われて糾弾されますが、一定の成果は挙げて、国民の支持を得ていたのも確かです。

100年前の”魔王”は、この世界では破壊者として恐れられているようだけれど、実はそんなに極悪ではない、理想の社会を作りたいと願う、阿九斗のようなやつだったのかもしれません。　阿九斗は魔王と呼ばれ、その誤解を解こうと必死ですが、きっと運命からは逃れられないのでしょう。彼が”大魔王”になる過程を楽しむドラマなのだと思われます。

なかなか面白く、ツカミのいい第一話だったのでは。　阿九斗が根は善良なのに魔王と看做され、やる事為す事が裏目に出る、というコメディをテンポよくやったからですね。いろんなパターンで”裏目に出る”のが面白い。　でも、ずっとこのパターンでやるわけにもいかないでしょうから、今後のお手並み拝見です。

期待していなかったので事前チェックしてなかったのですが、シリーズ構成が吉岡たかおさんか！　ゼロ魔の1期や、スカイガールズ、クイーンズブレイドなどの構成・脚本をされていて、コメディとドラマのバランスがとてもうまい方だと思っています。ベテランですが、監督もベテランの渡部高志さんで、ベテラン同士で職人芸を見せてもらえそうですね。

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