メルクマール

まず、帝人の”正体”が明らかに。すっかり騙されましたよ。推理小説で、「語り手が犯人」のようなパターンを叙述トリックと言いますが、これも一種の叙述トリックでしょう。帝人は視聴者の視点にいて、事件に巻き込まれる立場だと思っていたのに、そんな秘密があったとは。

ダラーズが作られていく過程が丁寧に語れれていて、「そういうこともあるかもしれないな」という説得力があります。ネットは自己増殖する作用があり、小さなキッカケが、大きな結果を生むことはありますからね。

たとえばLinuxは、フィンランドの大学院生が一人で作ったもので、当初はごく単純なものだったので、インターネット以前であれば、そのまま埋もれていたでしょう。でもネットを通じて多くの人が開発に参加したことで、大規模なOSになり、今ではインターネット自体を支える巨大なインフラになっています。そのことを思い出しました。そういえば6話の感想でも、ダラーズをソフトウエア開発に例えたのだった。

帝人が前回、”豹変”したのは何故だろうと思っていたのですが、これがあるからですね。彼は一介の高校生だけれど、ダラーズという大きなムーブメントを起こしたことで、「自分は全能だ」と勘違いすることがあっても、不思議ではありません。あくまでネット内でのことですが、それがリアルの世界に出たのが、あの不敵な態度なのでしょう。一人称が「私」と変わっていたのは、それがネット上でのキャラだから。

しかし、門田たちダラーズのメンバーによれば、誰かから誘われてダラーズに入ったということで、その誘った人物は帝人では無いはず。なぜなら、彼は最近まで池袋にいなかったので、知り合いようがないからです。 だとすると、有望な人をヘッドハントしてダラーズを築いた「陰の中心人物」がいるのかもしれません。

イザヤは、帝人がダラーズの創始者だとあたりをつけていたようですね。前回の「半信半疑だったけど…」という台詞からして。彼自身もダラーズのメンバーですが、より深く関わっているとしても不思議ではありません。彼が”正体を現す”のはいつか。

そう、今回はダラーズが”正体を現した”話でもありました。これまでネット上の存在だったダラーズが、初めて”目に見えた”瞬間でしょう。その表現が「携帯電話のメールを一斉に見ること」というのが、ネットの申し子たるダラーズらしくて、気が利いています。いいシーンでした。

そしてついに、「首なしライダー」が”正体”を現しました。これまでは眉唾ものの都市伝説だったわけですが、あそこまで白日に晒すと、「伝説」ではなく「事実」になるでしょう。

セルティは、”首に傷のある少女”と会えば、なにか突破口があるのではという希望にすがっていました。でも、名前を聞いて「セルティ」と答えた瞬間に、望みが絶たれたのです。もう、彼女の首は彼女とは別の人生を歩んでいて、取り戻すことは叶わないと。だとすれば、自分はいったい何なのかと。

その絶望感から、公然と”正体を現し”、「私はここにいる」と世界に向かって叫んだのが、今回の行動でした。切ないですね。彼女に救いは得られるのか。

今回の帝人の行動は、矢霧製薬に「お前たちを見張っているぞ」というプレッシャーを与えるためのものでしょう。でも、あのお姉ちゃんがそれくらいで態度を改めるかどうか。帝人の次の一手に注目しています。矢霧製薬が”正体を現す”展開になるでしょうか。

ポチッとして頂けると励みになります！↓