メルクマール

コミュニケーションの難しさの根本は、”言葉”の不完全さにあります。気持ちを表すための手法として、”言葉”は絶対的に表現力が足りない。進化した人間であるニュータイプは、サイコウエーブによる”完全理解”が可能だそうですが、残念ながら龍や爽子はニュータイプではありません。

龍は、千鶴のためにいろんなことを考えているはずなんですよね。心から千鶴のことを思って、失恋から立ち直って欲しいと思ってるはず。でも、そんな気持ちは千鶴には伝わりませんでした。口下手な彼は、最低限の言葉で伝えようとして、結果としてそれは最悪の言葉だったわけです。あるよなーと。

一方で、爽子は”言葉”で気持ちを伝えるのは諦めています。それはそれで正しい判断でしょう。言葉以外の、身振りや表情などによるコミュニケーションを”ノン・バーバル・コミュニケーション”といい、言葉の不完全さを補うために、重要な要素だとされています。千鶴の前で涙を流したことは、まさに"ノン・バーバル・コミュニケーション”でした。あの涙や表情で、爽子がどれだけ千鶴のことを心配しているかが伝わって、それが千鶴の涙を引き出したのです。　そのあたりの感情が、絵や演技で伝わってきて感動的でした。

風早は、一歩引いたところから見守っています。彼は基本的に楽天主義者で、「人はわかりあえる」と信じているのでしょう。誠意を持って接していれば、言葉を尽くさなくても、気持ちは伝わるはずだと。　爽子に対してもそういうスタンスなので、あやねはヘタレ呼ばわりしていますが、今回については彼のスタンスが正しいのでしょう。

では、龍はどうするのか。口下手なくせに余計なことを言ってしまうという、典型的な「コミュニケーションが下手」な人ですが、誠意は有り余るほどあるはず。龍に期待したいところです。

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