メルクマール

今回の、塩素に対して生石灰をぶちまけたり、塩素と水から塩酸を作ったりというあたりが、マクガイバーを思わせるものがありましたね。ちなみに、マクガイバーのような「ヒーロー」が生まれた理由は、アメリカのテレビの規制が厳しくなり、暴力シーンが放映出来なくなった苦肉の策とされています。この作品の場合、そういう配慮とは関係ないでしょうけど。

なんとなく、クェイサーが操る元素は金属なのだろうと思っていましたが、今回のクロアは塩素のクェイサーでした。なるほど、塩素はそれ自体毒だし、多くの毒ガスの原料にもなります。快楽殺人者にはふさわしいでしょう。

が、わりとあっけない幕切れでした。てっきり、炭素や水素と化合させて、より強力な毒ガスである”ホスゲン”や”マスタードガス”を作るのかなと思っていたのですが。実際のところ、塩素が毒ガスとして使われたのは毒ガス戦の最初期で、すぐにこれらのガスに取って代わられています。より強力で扱い易いので。  

ところで、クェイサーの名前と元素記号の間に関係がある気がするのですが、偶然でしょうか。

マグネシウム（Mg）　＝　水瀬
銅(Cu: カッパー）　＝　カーチャ
塩素（Cl: クロロリン）　＝　クロア

サーシャは、分からないんですけどね。

今回は、ハラショーなシーンがあまりありませんでしたが、痕跡を残さないほどにカットされているっぽい。戦闘後に燈の服が破れていたのが唐突で、何かあったのでしょう。

テレサの過去話がメインでした。テレサは中央ヨーロッパの小国の出身とのこと。　前回の考察で、『アトス』はギリシア正教会がモデルではと書きました。ヨーロッパでソ連崩壊後に激しい民族紛争があり、かつギリシア正教が盛んな国といえば、セルビアが思い浮かび、おそらくそれがモデルでしょう。（南東ヨーロッパだけど）

ソ連崩壊によって、抑圧されていた民族紛争が噴出した地域はいくつもありますが、セルビアとクロアチアの紛争は、その最も苛烈なものの一つです。両民族は、人種的にも言語的にもほとんど同じ（関東人と関西人ほどにも違わない）なのですが、宗教が前者がギリシア正教会で、後者がカトリックです。同じキリスト教徒同士なのに、だからこそ、容赦ない殺し合いになったようですね。

そんな環境にいたテレサは、さぞ辛い体験をしたはずで、笑わないキャラになったのも無理ありません。でもサーシャやまふゆという仲間を得て、彼女が少しづつ心を取り戻せればいいと思います。

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