メルクマール

なるほど、この2陣営の戦いなのですね（←いまさら）。　『アトス』は聞いたことのある言葉で、ちょっと調べたらわかりました。『アトス自治修道士共和国』から取っていると思われます。実在の国で、ギリシアの中にあり、ギリシア正教の総本山のような場所。　いわば、カトリックにおけるバチカンですね。 ただし、最近まで電気も引かれてなかったり、女人禁制だったりと非常に禁欲的のようです。

サーシャやカーチャはロシア人なのに、なぜギリシア正教？と思われるかもしれませんが、ロシアのキリスト教主流派であるロシア正教は、ギリシア正教の分派なのです。だから総本山はアトスで良いのだと思われます。 実際、アトスにはロシア人の修道士が多数（全体の半分くらい）いたこともあるとか。

ロシア正教の十字架は特徴のある形（いわゆるロシア十字架）ですが、サーシャの持っている十字架は普通の形ですし、また”イコン”はギリシア語（ロシア語では”イコーナ”）です。なので、ロシア正教よりは、本家のギリシア正教寄りのようにも見えます。

サーシャたちはアデプトを”異端”と呼んでいますが、ギリシア発祥の”異端キリスト教”として思い浮かぶのは『グノーシス』でしょう。聖書を重視しないので、他のキリスト教流派からは”異端”と見なされており、錬金術など神秘主義にも傾倒しています。　アデプトのモデルはグノーシスではと思えますね。　『アデプト』とは、神秘主義の用語で『魔術などの奥義に達した人間（達人）』のことで、グノーシスでも使われるようです。

つまり、元ネタとしては『ギリシア正教　対　グノーシス』であり、これをマイルドに『アトス　対　アデプト』と称していると考えられます。

カトリック、およびバチカンは、大昔から様々な政治や陰謀の渦中にあったので、それをテーマにした創作は非常に多くあります。でも、ギリシア正教やロシア正教をテーマにした作品は少ないので、どのようにアレンジされるのか興味があるところです。ギリシア正教関係の本でも探そうかな。

以上考察でしたが、本編については、あまり語ることがありません。ストーリーは進んでいなくて、今回の主題は、いかにして華がカーチャの下僕に堕ちるかを見せることでしょう。でもその過程はかなりカットされたようで、あんまりわかりませんでした。ディレクターズカット版を見ないと、何とも評価できないものがあります。

まふゆは「日本は世界で一番、安全で平和な国」と言っていましたが、それは言いすぎでしょうね。アメリカのシンクタンクが作った『失敗国家ランキング（failed state index）』によれば、日本は「世界で14番目に安定した国」とあり、先進国としては並だったりします。

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