メルクマール

似たジャンルの学園恋愛物で言えば、たとえば『とらドラ』にはゆり先生や泰子がいました。二人ともダメなところもあるけれど、要所では主人公たちに大人視点でのアドバイスをします。

『true tears』では、母親と父親ですね。特に母親は、終盤で重要な役割をしました。

この手の作品における大人の役割は、「動かない軸」でしょう。主人公やヒロインたちは、迷ったりぶつかったり、ふらふらと動き続けるわけです。一方で、大人は動かない軸としてあり、子供たちに現在位置を教えてあげるための装置なのでしょう。

『君に届け』には、そんな大人がいないわけですが、それはたぶん、「動かない軸」の役目を風早が担っているからだと思えます。彼は動かないんですよね。悩んでいる爽子に対して、常に的確なアドバイスをしていて、彼のスタンスにはブレがありません。今回の総集編を見ても、それが印象的でした。

くるみに対しても、まったくブレずに見事に対応してみせました。あの安定感は、高校生とは思えないものがありますな。

この作品は、風早のイケメンぶりを楽しむものでもあるので、このスタンスを貫き通すのは、それはそれでいいのでしょう。でも、風早が揺らぐところを見てみたい気もします。そのときには、大人視点が必要になるのでしょう。　ハッ、それが”ちっちゃいおっさん”なのか？（違

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