まず3D映像についてですが、いわゆる飛び道具的な、スクリーンから飛び出してびっくりさせる絵ではなく、”奥行方向に広がりを出す”シーンが多いですね。それが生かせる、壮大な景色を俯瞰するシーンが多いので、効果的だと思えます。
でも見ているうちに、内容に惹きこまれて、3Dはどうでもよくなってきます。まず、海兵隊のメカに目を奪われました。さすがキャメロンという、細部までこだわったかっこいいメカたち。
でも不思議なことに、ストーリーが進むにつれて、カッコよかったはずのメカが、いつのまにか、たまらなく醜悪に見えてきます。このあたりの感情移入のさせ方が、凄いと思うのでした。
ストーリーが単純だと言う人もいるでしょう。でも二つの世界を往来する凝った構成であり、登場人物も比較的多く、それらを内面まで表現しています。比較的長い時間の出来事を描いていますが、その表現も自然で、本当に長い時間が経ったように感じさせます。 複雑な物語をシンプルに見せるのは、緻密なテクニックなのですよ。
アメリカの歴史の暗部をなぞるような、”アメリカの贖罪”的な要素があることは、すぐに気づくでしょう。それはまた、”人類の原罪”も内包しています。ややスピリチュアルさが鼻につくのが、数少ない欠点ですが、必然性があるので仕方ないでしょう。
そういうテーマ性もありつつ、基本はハリウッドらしいエンタテイメントであり、アトラクション的な映像も満載なので、最後までドキドキワクワクさせてくれます。多くの要素が2時間40分に凝縮された、凄い作品だと思うのでした。
”アバター”とは、主にネットでの”自分の分身のキャラクタ”を表す言葉で、この物語でもその意味で使われますが、そもそもはサンスクリット語であり、語源を知るとさらに味わい深いかもしれません。
この作品はまた、今後の映画やアニメに影響を与える、エポックメイキングなものだと思えます。フルCGアニメはこれまでもあったし、実写と見分けのつかないCGもありました。でも実写並のCGが、ここまで全面的に使われた映画は、これまで無かったのでは。
将来、この技術が安価になれば、もう役者はいらないし、セルアニメもいらない、ということになるかもしれません。 もちろん、生の役者やセルアニメの良さはあるわけですが、コストには勝てない可能性があります。そんなことも考えながら観ていました。とにかく、これは観ておくべき映画でしょう。
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IMAX 3D版は凄いらしいですね。
メルクマールさんが見たのはIMAX 3D版ですか?
僕はReal3Dですね。マイカル系がこれなので、上演館が多いのです。