メルクマール

「パワーバランスなのか？」というセリフが印象的で、まさに恋愛はパワーバランスだと言えます。「追えば逃げる、逃げれば追う」というのは古来からの真理。汐は本能的に、「自分から追ってはいけない」と思っているのでしょう。

”本能的に”というのがポイントで、汐は自分が純夏が好きだとは、あまり意識していなくて、純夏をなにかと誘惑しているのも、無意識のうちにやっていると思えるのです。これが、純夏と汐の”すれ違い”の根本。

純夏は時々、「もしかして汐も自分のことが好きなのでは」と思うのだけれど、そのたびに汐が「友達カード」を出してスッと逃げるので、悶々として、ますます燃え上がる結果になっています。これが駆け引きだとすれば、汐はすごく恋愛上手ということになるのですが。

でも、汐はあくまで天然なんですよね。わかっていて弄んでいるわけではなく、自然にやってしまっているのがタチの悪いところで、可愛いところでもあります。

でも今回、純夏の携帯電話が壊れたことで、強制的に純夏が「逃げる」立場になり、これが二人の”パワーバランス”に変化をもたらしました。汐は一日は我慢したけれど、ついに折れて、自分から電話してしまう。

ただそれだけの出来事ですが、恋愛においては質的に、大きな変化なのですよ。「逃げる」から「追う」にスイッチしたわけで。それにともなって、汐の心境も変わったはずです。

Cパートで、汐は純夏を頬を染めて見つめていましたが、これは”汐の心境の変化”をわかりやすく表現していました。1話からの二人のラブストーリーが、ここで節目を迎えたということで、最終回にふさわしい内容でしょう。

そのような、恋愛面から見れば”ドラマチックな変化”を、表面的には、なかなか電話できないという”ありふれた描写”に抑え込んでいるのが、非常にセンスが良いと思えます。淡々とした映像と音楽も効果的でした。

全体としてですが、僕は「女子部いらないんじゃないの」と思ってしまいますね。1話から3話までと、最終話が好きなので。純夏と汐のラブストーリーに注目していたからでしょう。　「女子部」は鳴り物入り？で登場したものの、中途半端に感じました。あけみちゃんもそうですね。

でもそれは、1クールに押し込めるために、仕方ないことだったのでしょう。2期があれば、真価を発揮するのかもしれません。でもそれらを抜きにしても、純夏と汐がいい感じだったので、僕の中では”佳作”とランクされています。音楽や映像が良い作品でもありました。

ポチっとして頂けると励みになります！↓