メルクマール

今回の「水着モデルのバイト」の件は、いろいろ不自然だと思うのですよ。まず、大手の水着メーカーが、ズブの素人をモデルに使うかなと。また、「どれでも好きな水着を選んでくださいね」というのも妙です。”水着”のモデルなんですよね？　「撮影中」は特にポーズの要求も着替えもなく、自然に動き回っているだけでした。

これらの疑問は、”モデルのバイト”というのはカモフラージュであり、実はあの”最新技術のスタジオの実験”だと考えると、説明がつきます。

あの撮影スタジオは、3D映像とか仮想現実とかいうレベルではなく、触感も含めたすべての感覚を再現しているようでした。船の揺れまで再現とは。これは我々の既知技術の延長線上では考えにくく、”超能力”の応用だと考えた方がしっくりきます。超能力とは、能力者が”現実”だと思い込んだことが量子レベルで顕在化する現象であり、いわゆる”パーソナルリアリティ”というやつです。あの撮影スタジオは、パーソナルリアリティを共有するもの、と理解できるかもしれません。

では、なぜ被験者が美琴たちである必要があったのか。あのルームが”超能力”で駆動されるとすると、それなりの高レベルの能力者が、一定数必要なのでは。ゆえに、高レベルの能力者が多い常盤台中学や、ジャッジメントでバイトを募ったわけです。

「水着モデル」という名目にしたのは、装置を駆動するためには衣服が邪魔で、なるべく薄着が望ましいから、とかね。AIM拡散力場などが、衣服に影響されるのかはわかりませんが。

雪山、砂漠、嵐の船上といった、水着撮影には相応しくない極端な環境に次々と切り替わったのは、いろいろな仮想環境を作り出すテストだから、と考えると納得できます。高レベルの能力者がそろったので、実験チームとしていろいろやってみたくなっても不思議ではありません。

”装置の調整”のために小休止したとき、担当の女性は何か企んでいるような目をしていました。キャンプで調理するように仕向けたのは、美琴の能力を使わせたかった（能力によって生じる力場？が必要だった）からというのも、ありえるかもしれません。

月面のシーンは、『2001年宇宙の旅』のパロディですね。人類を見守る、より高度な文明があり、その文明が自分たちの存在を知らせるために作ったのがモノリス（石版）です。あのシーンは、「君たちは手のひらの上で遊ばされている」という、実験チームからのシニカルなメッセージなのでは、とも思えます。　

さらに言えば、美琴たちが学園都市で楽しく暮らしているのも、あくまで見せかけの”作られた現実”であり、裏には別の意図があることの暗喩である、という解釈は、さすがに穿ち過ぎかもしれません。

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