メルクマール

 まず「何者か」ですが、僕はいわゆる”組織”の人間だと考えます。シュレーダー博士と付き合いがあったり、マオと深い仲だったりするのは、組織の人だからと考えるのが自然。　あの『スーパーコンピュータ』を作るためには、資金的に大きなバックアップがあるはずで、それこそ”組織”クラスのものが必要でしょう。

では、彼女、つまり”組織”は何がやりたかったのか。1期での”組織”の目的は、ゲートを消滅させ、ゲート出現以前の世界を取り戻すことでした。それは真っ当なモチベーションですが、その副作用として”契約者”が消滅するために、EPRなど契約者の反発を招き、ヘイもそれを望まなかったわけです。

それで、2期はどうなのかということですが、”組織”の目的は変わっていくて、やはりゲートの消滅だろうと推測します。ただ、より穏便な手段を取ることにしたのではないでしょうか。契約者を抹殺するのではなく、契約者のための新天地を用意して、そちらに引っ越してもらった上で、ゲートを消すという手段です。

その引越し先が、イザナギの力で作った地球のコピーであり、引越し業者がイザナミということになります。確かに、元の世界を取り戻し、かつ契約者にも最大限配慮した、悪くない計画にも見えます。紫苑が夢見て、マダム・オレイユがそれに賭けたというのも理解できるかと。

この世界では、夜の星は偽りのもので、契約者の命に対応していました。つまり物理的な”恒星”ではないわけです。同様に、あのコピーの地球も、物理的な惑星ではなく、”契約者の星”の集合体のようなものでは、と思えます。契約者たちを逃がすために集めた、まさに”星の方舟”でしょう。このあたりは、SFというよりはファンタジーですね。

外国勢が介入してきたのは、彼らは必ずしもゲートの消失を望んでいないからではないでしょうか。ゲートの研究によって科学技術は大きく進んだので、権益が絡んでいるでしょうし。また、外国からすれば、組織のやっていることは、ゲートをもてあそんで世界中を巻き込みかねない”危険な実験”と見えるでしょう。

謎は残っています。イザナギとイザナミが出会ったことによる「災厄」とは、今回の引越し大作戦とはたぶん別のことで、ラストでちらっと写った少年（イン？）と関係あると思えます。これは3期への伏線ということでしょう。

美咲のモノローグで締めくくったのは、1期と相似でした。”組織”は改めて壊滅したようですが、美咲たちは組織の仕事の続きを見届けるために活動していて、事実上組織の”残党”と見なされているようです。これもまた、3期への伏線でしょう。

全体として、謎めいたグイグイと引き込まれるストーリーであり、ラストでそれなりに決着をつけたのは素晴らしいと言えます。ただ、若干説明不足にも感じました。上述の僕の解釈が、正しいとも限らないですし。このあたりがちゃんと説明されたほうが、スッキリしただろうと思えます。それをしなかったのは、尺不足のためか、あるいは「自分で考えろ」という製作者の意図なのか、どちらでしょうか。

ともあれ面白かったし、何よりキャラクタがみな魅力的でした。蘇芳とはこれで「さよなら」だと思えるので残念ですが、ヘイたちとは3期で再会したいと願っています。

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