『人工知能の反乱』というのは、SF界では流行のテーマだったりします。もちろん昔からありますが、昨今のネット技術や、シンギュラリティの思想を取り入れてリバイバルしている感じですね。『そらかけ』はその流行に乗っているようにも見えました。
コロニーを制御するために作られた人工知能は、本能的に住人を必要としていて、箱詰めされた住人は箱の中で満ち足りて暮らしている、という設定も面白いし、社会問題化している引きこもり問題を反映してもいました。
人工知能は精神的に不完全な、人間で言えば思春期くらいのメンタリティーであり、同じく悩み多い思春期の少女とペアを組むことで、お互いに成長していくというテーマも、掘り下げることが期待されました。
でも、それらのよさそうな設定が、ストーリーの本筋にほとんど生かされなかったのが残念なんですよ。たとえばマクロスであれば、「文化を持たない戦闘種族が、人類の文化(歌)に触れることで衝撃を受ける」という設定が、ストーリー全体の骨格になっているます。SFというのはそのように、まず設定があり、それに絡んだストーリーがあるべきなのです。
人間関係は、さらに場当たり的でしたね。敵方の神楽があっさり寝返り、レオパルドが唐突に暴走し、秋葉とナミの姉妹の確執は解決しないまま。秋葉たち3人娘の友情ストーリーも、ごく薄味でした。いっそ百合っぽい要素でも入れてくれればスパイスになったかも。
『宇宙活劇物』にしたかったのは分かるし、その心意気は買いたいところです。ワクワクさせてくれるところもありました。だからこそ残念なんですね。
美術の良さも美点で、未来都市や宇宙の描写は良かったと思います。いろいろ文句を書きましたが、楽しませてくれた作品ではありました。

謎解きとクライマックスを一気に駆け抜けた、めまぐるしい最終回でした。東のエデン 第11話(最終回) 「さらにつづく東」 の感想です。
ずっと感想を書けていなかったのですが、最終回なので書きます。近年まれに見る意欲作だったと思いますし。
欠点も、多いとは思うんですよ。『記憶を消す前の滝沢は何をやってきたのか』というサスペンスがストーリーの軸ですが、その謎解きを、咲の長台詞で片付けてしまったのは残念ポイントです。もうちょっと、謎解きの過程を楽しめると良かったなと。
ニート問題に代表される、現代日本の閉塞感に向き合った『社会派作品』の要素も強いのですが、あまり問題の解決にはなっていないというか、電車男的な「ネットの英知を集めて、ちょっといいことをやった」話の域を出ていない感もあります。
それでも、そういうテーマに取り組んだことは多いに評価されるべきだし、重いテーマでありながら、ドキドキワクワクのエンターテイメントに仕立てられているのは凄いことではないでしょうか。
演出・作画・音楽のクオリティも終始高かった。クライマックスの、ソウルフルな歌を背景にミサイルが飛来するシーンは、なかなかのスペクタクルでした。
ストーリーはそれなりに決着したように見えるのですが、映画はどうなるんでしょうね? 2部作のようなので、TVアニメの総集編+後日談、のような内容になるのでしょうか。
滝沢君と咲との、ボーイミーツガールの物語でもあったわけで、特に最初の数話はその要素が強かったのですが、だんだん薄まっていったのが残念です。映画でそのあたりが補完されるなら、ぜひ見たいと思いますね。
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