メルクマール

2期が作られるのは、1期がそれなりにウケたからで、下手に変えると1期からのファンにそっぽを向かれるし、あまり変えないとマンネリ化するしと、いろいろ難しいと思えます。

この作品は、基本線は1期と変わっていません。　ゲームで神と呼ばれたテクニックを活用して、リアル（現実）の女の子を攻略するというストーリーです。　でも1期では、桂馬の凄さが強調されていたのに対して、2期の桂馬は時に失敗して、時に悩むようになりました。　ゲームで身に付けたテクニックだけでは、通用しないケースが出てきたのです。

1期では、桂馬はリアルの女の子を、バーチャルの女の子と同じように扱っていました。　「こういう属性だから、攻略はこう」とパターン化していて、リアルな女の子に本当の意味では向き合っていなかったと言えます。　でも2期ではそれが通用せず、リアルの女の子を知ることが必要になって、真摯に向き合うようになります。

ちひろは、リアルに見切りをつけて、真剣に生きることをやめてしまったという点で、桂馬と似ていました。　そのちひろに、君もリアルでヒロインになれる、と教えたことで、桂馬自身も、リアルを見捨ててはいないことがわかりました。　

長瀬先生は、リアルにバーチャル（プロレス）の理想を持ちこんで空回りしていましたが、でも桂馬はうまく立ち回って、長瀬先生の理想を、クラスメイトたちにある程度受け入れさせることに成功しました。　リアルで理想を掲げることも必要だ、という気持ちになったようです。

そして今回、理想のゲームに出会い、さらにその会社からゲーム制作に誘われたことで、ゲームにおける理想とは何かを考えるようになります。　そして突き詰めれば、「理想はたくさんある」ということになるのでした。　マルチヒロインもシングルヒロインも、どっちもいいじゃんと。　マルチヒロインはご都合主義すぎると言われたりしますが、源氏物語からの歴史があるわけで、貴賎はありません。

「しょせん理想も、現実の一要素でしかないのか」というセリフが深いですね。　一般的な状態としての”現実”があり、”理想”はその特別な状態、つまり一部にすぎないのでしょう。　毎日オープンしているスーパーと、毎月15日のクーポン5倍デーくらいの違いです。　理想は現実の中に、探せばたくさんあるはずです。

「リアルはクソゲー」と言い切り、関わろうとしなかった桂馬が、リアルにも理想のエンディングがありえることに気付き、自分ならそれを攻略できると信じることになったのでした。　こういう結末になるだろうなとは思っていましたが、とても綺麗にまとめたと思えます。

パロディも面白かったですしね。　あと何気に、日常シーンの作画も素晴らしい。　カメオ風に登場するヒロインたちや、ハクアの仕草や、モブキャラさえも、きめ細かに描かれていました。　全体に、とても絵が綺麗な作品でしたね。

ちひろ編の雨のシーンのような、叙情的な描写も時にあり、コメディ要素もあり、盛りだくさんでクオリティが高い作品でした。　今後のヒロインらしきキャラが映りましたが、3期にも期待したいですね。　リアルに目覚めた桂馬が、ヒロインとどう向き合うのかに興味があります。

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