メルクマール

アインゴットは、ザメクに握りつぶされていましたが、それはアインゴットが『邪悪なサイバディ』だからのようです。つまり、アインゴットを作った古代文明人が自ら、アインゴットを壊したのでしょうか。なぜそんなことになったのでしょうね。

『銀河ヒッチハイクガイド』というSFがあり、どんな作品かは一言で説明しにくいのですが、”ハチャメチャハードSF”とでも言いますか。これに、”予知能力のあるエレベーター”というのが登場します。

エレベーターって、乗りたい時に来なかったり、複数のエレベーターが同じように動いていたりと、イライラすることが多いじゃないですか。なので、予知能力を持たせることで、利用者がいることをエレベーターが事前に察知して待っていてくれるという、ナイスアイデアです。でも実際には、役に立ちませんでした。

何故かといえば、予知能力を持ってしまったために、エレベーターたちは自分自身の未来のことが全部分かってしまい、ウツになって地下から出てこなくなってしまったのですね。

この話は結構、示唆に富んでいます。機械というのは融通が効かないので、人間のような思考能力があればいいなと思いますが、もし思考能力を持ってしまったら、はたして人間の言う事を聞くでしょうか。

乗馬をやる人に聞いたことがあるのですが、馬は犬や猫よりもずっと頭が悪いと。もし犬並に頭が良かったら、人間なんか乗せないよと。それは確かに、そうなのかもしれません。草食動物と肉食動物の違いなんでしょうけど、馬にはあまり意思はなく、人間に機械的に従うようです。だから乗り物として使えるのです。

サイバディは、人が操縦するということで、ただの乗り物に見えます。でもアインゴットは操縦者を無視して、自らの意思で動いているように見えました。それはきっと、アインゴットの持つ特性と切り離せないのでしょう。

アインゴッドは、「巫女の居場所を見通せるという目を備えたサイバディ」です。その機能の実現のためには、高度な推論能力や知識バンクが必要なはずで、それによりある種の『意思』を備えたサイバディになっても不思議はありません。そして意思を持ったために、人間の言う事を聞かなくなってしまったのでは。だから、古代文明人はアインゴットを壊したと。

機械が人間に反乱を起こすというのは、わりと古臭いSFのテーマですが、最近のコンピュータ技術の進化やナノテクノロジーと組み合わされることで、リバイバルしています。「文明は、いつかは自分が生み出した文明に滅ぼされる」という世界観ですね。古代文明人も、実はそうだったのかもしれません。だから、どこかに逃げ出したと。サイバディを残したのは、後の文明への警鐘の意味かも。

この物語を読み解くカギは、古代文明人にあると思えます。彼らは何者で、なぜサイバディを残したのか。アインゴットはそれに迫るための、重要なピースなのかもしれません。今後も、そのあたりを気にしつつ観たいと思っています。

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