メルクマール

『生徒会の一存』で、ヒロインのくりむが『記憶喪失はラブコメにおける最高のスパイスなんだよ』と言ってましたが、そういうものかもしれません。記憶喪失のシチュエーションがおいしいのは、人間関係をリセットすることで、停滞した恋愛を動かす作用があるからでしょう。

嵐子は、学校をサボってまで、太郎を動物園に連れ出しますが、それは、動物園が彼女にとって大切な思い出の場所だからです。動物園での強制デートをキッカケに、嵐子は太郎を意識するようになったから。

つまり嵐子は、太郎の記憶を取り戻す手伝いをしつつも、太郎のことを試したんですよね。動物園で記憶が戻るなら、自分の存在が太郎の中で大きいという、明らかな証拠になるからです。しかし実際には記憶は戻らず、嵐子は失意のあまり、太郎を放って帰ってしまいました。

美緒は、そんな嵐子の意図が分かっていたので、浮かない様子で二人を見ていました。彼女は彼女で、太郎と最初に出会った頃の状況を再現して、記憶を取り戻そうとします。嵐子よりも過去の状況にすることで、「自分のほうが先に太郎のことが気になっていたのだ」と、暗に主張してるような。

嵐子は、そんな美緒の様子にカチンときたので、「太郎のことをどう想っているんですか」と問い詰めます。彼女は毎回、太郎に告白しようとするのだけれど、たいてい男性恐怖症オチでうまくいきません。今回はやっと告白できたけれど、覚えていないオチでした。これは彼女の芸風ですね。

でも、今回の記憶喪失のおかげで、3人の人間関係に微妙な変化が出たようには思えます。膠着したラブストーリーが動き出すのでしょうか。

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